「ある意味で眼差しが可愛い孫娘を見るよう。」ハッピーエンド 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
ある意味で眼差しが可愛い孫娘を見るよう。
この映画はミヒャイル・ハネケ監督の前作
「愛、アムール」の続編的な作品です。
登場する人物が同じです(人物のシチュエーションは違う)
後味の悪さで定評のあるハネケ監督作主しては、おとなしめです。
監督を大嫌いになることが「愛、アムール」あたりから少なくなったのは、
お年のせいでしょうか?
(写実的で説明的ですらあります)
フランスのあるプルジョア家族の抱える問題点を多層的に描いて行きます。
ある意味ホームドラマ的。
フランス映画の重鎮ジャン・ルイ・トランティニャンが
《自殺願望のある祖父》
その娘で会社経営者する社長が前作と同じキャスティングで、
イザベル・ユペールが演じています。
ユペールの弟で医師のトマスをマチュー・カソビッツが演じています。
この豪華キャストの中でストーリーの鍵を握るのはトマスの先妻の娘で
13歳のエヴ。
冒頭長々と流れるスマホで撮影した映像はエヴが飼っているハムスターが、
死ぬまでをエヴは記録しているのです。
母親の鬱病の薬を砕いてハムスターの餌に混ぜたらしい。
それから暫くして母親が昏睡して入院する。
(この昏睡の原因は、何なのだろう?)
一人になったエヴはカレーに住む祖父の家に引っ越すことになる。
大家族の同居生活が描かれる。
祖父と孫娘は正確に共通点があるようで、一見では仲良しに見えます。
結論から書きます。
ラストシーン、
エヴは車椅子に乗ったまま、ゆるーい傾斜を下って海に沈んでいく祖父。
その祖父を助けもせずにじーっとスマホで撮影しているエヴ。
しかしざわざわと家族たちが駆けつける人声と足音が・・・聞こえてくる
☆☆☆
ハネケ監督がこの映画を撮るキッカケは、
ある日本の事件の報道だったそうです。
それは高校生の娘が母親に毒物を飲ませて観察日記をつけていた。
この事件がヒントだったそうです。
冒頭のハムスターの苦しむ様子をスマホで撮影するシーンに重なりますね。
★★★
祖父が死んだのか?とか助かったのか?とかこの件が元で死期を早めたのか?
とか、の描写はない。
エヴがサイコパスだ‼️
とかの決めつけは一切ありません。
そこがハネケ監督らしいかも知れません。
それから、バッドエンドではないか?
との意見も多いようですが、ある意味では、ハッピーなラストかも?