「忍者蝙蝠」ニンジャバットマン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
忍者蝙蝠
バットマンと言えば、ティム・バートン監督版、クリストファー・ノーラン監督版、最近じゃDCユニバース版がお馴染みだが、他にも往年のポップなTVシリーズやレゴアニメになったりと、結構姿形、世界観は様々。
だけど、本作ほど異色のバットマンはあるまい。だって、
日本製作によるアニメで、ニンジャ×バットマン!
ヴィランの一人、ゴリラ・グロッドのある装置によって、アーカイムの他のヴィラン共々タイムスリップした先は…、
何と、戦国時代の日本!
「私は怪しい者ではない」と言うが、この時代に奇妙な格好の異国人。怪し過ぎるぞ、バットマン! 唐突のタイムスリップがシュールでもある。
確かに、おかしい。侍たちが自分に襲い掛かって来る。
戦国大名となっていたジョーカーが待ち受けていた…!
一旦ここは退き、助けに現れたキャットウーマンから事情を聞く。話によると…
バットマン以外のキャットウーマンら仲間、ジョーカーらヴィランはバットマンが来る2年も前にすでにこの時代に来ていたという。
ヴィランらは諸国の大名となり、天下統一を目論む。
その野望に一番近いのが、ジョーカー。自ら“第六天魔王”と名乗る。
時代は違えども、宿敵に立ち向かっていくバットマンだったが…
この時代、バットマンの数々のハイテク武器が使用不可。
逆にジョーカーは、蒸気やカラクリ兵器で圧倒。
一度は敗れるも、キャットウーマンら仲間や予言で救世主=バットマンが現れるのを信じていた忍びの軍団、こっち側に付いたゴリラ・グロッドの協力を得て、再戦。
今度は追い詰めるも、ゴリラ・グロッドが裏切り、勢力図が一変。バットマンもジョーカーも窮地に…!
ジョーカーに変わり天下統一に近いゴリラ・グロッドと、ヴィラン大名たちが富士の麓の“地獄ヶ原”で天下分け目の決戦。
ジョーカーは…と言うと、先の闘いで記憶を失い、同じく記憶を失ったハーレイ・クインと農夫婦として静かに暮らしていた。あのジョーカーが…? バットマンを欺く為…? バットマンはジョーカーの目に邪気が無い事を見る。が…
傷を癒したバットマンは、この時代の日本の闘い方=忍術を学び、決戦へ。
バットマン衆対ゴリラ・グロッド対ヴィラン大名の入り乱れの闘いに現れたのは…、
記憶を取り戻したジョーカー!
ジョーカーはゴリラ・グロッドから悪の総大将の座を奪い返し、バットマンとジョーカー、因縁の宿敵同士の最終決戦の行方は…!?
90分弱の尺の中に、ブッ飛び荒唐無稽な設定、ハイテンションな展開、クールな迫力アクションをたっぷり。
単純にバットマン対ジョーカーかと思いきや、一旦勢力図が変わり、そして最後は再び因縁の対決と二転三転。
アメコミ映画ブームのお陰でバットマンの世界観も広がり、味方にもヴィランにも“バットファミリー”が数多く登場。
お馴染みのヴィラン、まだバットマン映画の方には登場していないハーレイ・クインやデスストローク、“歴代ロビン”なんかはファンには堪らないだろう。ゴリラ・グロッドは初めましてだった。
これら顔合わせは、実写では配役・設定がその都度変わるので、アニメだからこその楽しみ。
メカニックも和テイストに。
中でも、動くカラクリ城。最終決戦では何とこれが、それぞれのヴィラン大名の特徴顕れたロボット城に変形!
それに立ち向かうバットマンたち。
アメコミ・ヒーロー×時代劇に、日本らしい特撮ヒーロー要素も。
もう何でもあり!
根っからのバットマン/アメコミ・ファンからは総スカンを食らいそうだが、個人的にはバットマン×時代劇、相性は悪くないと思った。
『~ビギンズ』でも忍者的な影の同盟の下で訓練しているし、影に潜み、人知れず暗躍する姿は通ずるものがある。
超人的な力を持っている訳でもなく、修行を重ねた身体、精神、頭脳。
敗れてもまた立ち上がる。
一対一の決着。
甲冑スーツに身を包んだ姿さえも、バットマンに日本文化が不思議なくらい違和感無い。