劇場公開日 2018年3月30日

  • 予告編を見る

「壮大な4部作の3作品目を期待してしまう…」ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5壮大な4部作の3作品目を期待してしまう…

2018年4月2日
iPhoneアプリから投稿

一刻の猶予もない1ヶ月間がこれ程までに迷いを抱え、重く苦しい判断の連続だったとは!
政治的でありながら、人間味溢れる演出の数々に心を打たれる。

映画の魅力はゲイリー・オールドマンの演技に酔いしれるのみならず。演説に始まり演説に終わる構成と、チャーチルが迷い決断を出すまでの絶妙な"間"に引き込まれてゆく。
リリー・ジェームズ演じる書記係とのやり取りを通じて民衆の疑問や不安を感じ取るシーンが凄く好きで、チャーチルという人物への好感度が高まった。

政治とは状況から答えを導くべきものなのか、はたまた人々の意志を尊重すべきものなのか。絶大な軍事力を前に戦況を読めば、ハリファックスのような思考に到達するのは当然の流れ。どちらをとっても結果が全てになったであろうあの時代に、後ろ盾なく勝利を信じて進もうとしたチャーチルの勇気と、それでも迷い折れそうになった時に彼を支えた人々の勇気に感動する。

ジョージ6世が吃音気味に自分の言葉を紡ぐシーンには『英国王のスピーチ』を思い出してキュンとしたし、たくさんの民間船が『ダンケルク』に向かうシーンでは同名の映画を思い出して泣きそうになった。壮大な史実の3部作目を観ているような気分に。
そして4部作目にダイナモ作戦の陽動として犠牲になった『カリー』を舞台とする映画を期待してしまうのだが(笑)、そんなもの造られようもんなら涙無しに観ることなど出来ないし、最初から最後まで辛さしかないエンディングになる事請け合い。でも期待しております。主演はディン・デハーンあたりをカリーに残された若い兵士役で是非お願いします!!

幸ぴこ