「コナン映画の原点に回帰した良作」名探偵コナン ゼロの執行人 カミーユさんの映画レビュー(感想・評価)
コナン映画の原点に回帰した良作
コナン映画は「瞳の中の暗殺者」「天国へのカウントダウン」「迷宮の十字路」など、こだま監督時代に名作が多い。本作はそのこだま監督をリスペクトしている立川監督のコナン映画デビュー作。
相棒の脚本家でもあった櫻井氏が産み出したハードボイルドなシナリオを、「名探偵コナンらしさ」で後味よく魅せてくれた良作だった。
大人たちが得体の知れない、正解のない『正義』というものに振り回されるなか、蘭のため、愛のために奔走したコナンだけが全ての謎を解き、危機を回避させる。
今作のテーマは『真実vs正義』という煽りだったが、実際は『愛vs正義』と言っても良いのではないのか。
「好きな女の子を泣かせたくない」というシンプルな気持ちを原動力に、コナンが少年の体で一生懸命困難に立ち向かっていく。今回の映画は、そんな、名探偵コナンという作品の原点に立ち返ってくれた。今回のキーパーソンである安室透はもちろん、他のキャラクターも、それぞれの個性が輝いていた。だけど一番カッコ良かったのはコナンで、主役の面目躍如と言えた。
例年よりもアクションは控えめで、特に前半は裁判関係の描写が続く。それでも単調に感じなかったのは、巧みな演出やカメラワーク、そして何より豪華声優陣の力量の高さのおかげだろう。特に、3つの顔を持つ安室透を自然に演じきった古谷徹さんはさすがレジェンド、といったところ。ゲスト声優の上戸彩さんも健闘していた。やはり、物語に没入していくには声だけであっても役者という要素は重要なのだと再確認した。
既にに2回観ているのだが、2回目は1回目とまた違った面白さがあった。立川監督も「視点を変えて4回観て楽しめる映画」と仰っているのでできれば映画館で4回観たいなと思う。
立川監督はエンタメ映画をやりたいそうなので、来年の映画は更に期待大!
欲を言えば、「天国へのカウントダウン」のように少年探偵団が活躍する映画をこの監督で観てみたい!