「キャラ萌え映画としては良い」名探偵コナン ゼロの執行人 rick2017さんの映画レビュー(感想・評価)
キャラ萌え映画としては良い
ひとつの劇映画作品としてはかなり不満。
FBIやCIAはある意味ファンタジーな存在として成り立つが
今回のようなネタで公安というダーティで現実的な存在はコナンサイドの非常に甘やかされた設定との食い合せが悪くシリアスな表現やセリフが積み重ねられるほど不快感が湧くほど飲み込めない部分増えていく。キッドの存在など、もともと現実的な部分との兼ね合いが危うい作品ではあるが今回は顕著だと思う。
犯人の犯行動機の下りも非常に雑。40のやり手検察官とはとても思えない。
日下部が降谷に向かって身分を明かしていないにも関わらず公安と言っているのも謎。
協力者の運営は非常にデリケートでその時の心理状態の把握はもちろん、ありとあらゆる個人情報が調べ上げられるにもかかわらずあの女弁護士が投入されるのは無理がある。
(公安と日下部で協力者との関係がわかりやすく対照的に描かれているが協力者の接触から獲得までに時間をかけ家族のような絆を築いていくのは公安警察も同じ)
重箱の隅をつついてもしょうがないが過剰にシリアスなネタにしたおかげで作品内でフィクションの基準値がバラバラになり粗が必要以上に悪目立ちしている他ならない。
脚本は「相棒」「科捜研の女」とを書かれた方と知り腑に落ちた。
実写は実写というだけである程度納得できる絵に出来ますもんね。脚本だけの問題ではないですけど。
小五郎が拘束に至るまでの不安感を煽られる薄暗さや
逮捕から起訴に至るまでがわかりやすく解説してくれる妃弁護士のシーンは(身内の逮捕という危機感もあり)良かった。
子供たちのドローン遊びシーンが重要ではあるが冗長で退屈。
(そもそもラストのドローン操作も目的を知らない子供に任せる事自体受け入れ辛い、コントローラーをいじくり倒すシーンがあるのでハラハラさせるつもりで入れているのかもしれないが正直あり得なさすぎて萎える。あいつらが気まぐれに操作放棄したり誤った方向へ飛ばしたら灰原はどうするつもりなのか)
ZEROとしての風見とのやり取りや恋人うんぬん、カーアクショシーンのカッコよさに比重を置けば萌え映画としてはとてもいいと思うが人物作画が崩壊レベルで酷いので個人的にはノレない。降谷というキャラ自体は凄く好きなだけに本当に残念。
メインである降谷の顔が全く安定していない、デッサンが崩れまくっている。
髪さえ伸びたり短くなったり減ったり増えたり。
ED曲の歌詞は降谷の心情に沿ったものだけれど捻りがなさすぎて幼稚に聞こえる。「子供に正義をテーマに書かせた作文」みたいな歌詞をバカでかい字幕スーパーで見させられる気分たるや。
本編終了からいきなりアホみたいに明るいマカロニウエスタン風トランペットが鳴り響くのも衝撃。笑わせたいのか。歌声は非常に籠っていて不明瞭。これならいっそインストでいいわと思える印象の薄さ。EDでエピローグ映像が流れるから余計に薄い。小五郎と妃弁護士のイチャイチャごはんシーンは和んだ。
追記5/21 2回目鑑賞
安室を80憶の男にはしたいがやっぱりお話としては?な作品だと思うので追記。
結局メインのストーリーがアニメと漫画で現在進行形で進んでいる作品だから
キャラの根幹を揺るがすような出来事や今後のキャラクター同士の関係が変わってしまうようなぶつかり合いは出来ないわけで
CMでやっていた「正義で人が死んでもいいのか」が
VS安室(公安)ではなくお茶を濁すようにVS日下部にスライドしたことでかなり中途半端な着地になってしまったんだなあと思う。
スライドしてしまったからこそ安室のキャラをコナンサイドの味方であることから外れられない言動と公安的怖さ、厳しさの兼ね合いが放り投げレベルで適当になっていたんではないかと。
正直日下部のエピソードは全カットでもいいだろというぐらい無駄に話を難しそうな雰囲気にする為だけの要素にしかなっていないうえに実際動機、犯行手口で一番「何いってんだこいつ」メーターが跳ね上がる。
警察検察の専門的な単語飛び交うのでとっつきにくそうではあるが話自体はかなり単純では。単語の説明はそのつど優しく作品内でされますし。
あと羽場が罷免される原因のシーン。あれみた限り「そりゃ裁判官なれねえわ」としか思えないのでまったくこのキャラに同情のかけらも湧かないのがキツイ。