「「恋愛経験は一度だけ」の台詞が後々心に沁みてくる」さよなら、僕のマンハッタン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
「恋愛経験は一度だけ」の台詞が後々心に沁みてくる
序盤はなんとなくウディ・アレン風の作品かな?と思ったがすぐに打消し、S&Gの「ニューヨークの少年」をモチーフにした映画だったのだと気づいた(トムから始まる歌詞も絶妙)。どことなく映画『卒業』の雰囲気にも近く、現代からはちょっと離れた感覚にも陥ってしまいました。
S&Gのアルバム「明日に架ける橋」はやっぱり名曲揃いだけど、この「ニューヨークの少年」は印象が薄かった。この曲よりもボブ・ディランの「Visions of Johanna」の方がインパクトあったし、劇伴としてのビル・エバンスやデイブ・ブルーベックといったミュージシャンの曲がニューヨークっぽいイメージだった。
年上の美人、しかも父の愛人。ケイト・ベッキンセイルの魅力もさることながら、奥手の青年だと思っていたら大胆な行動にでる主人公トーマス。一度だけ関係を持った学生ミミからも「一度きり」だと告げられ、大人の恋愛に追いつけないでいる彼も、さながら私立探偵のように愛人ジョハンナを追跡し父と別れるように忠告する。しかし・・・と、大人の恋愛、しかも母を守るための行動に出たのだが。まさかの親子丼・・・
大人の世界に追いつこうとする一心で鬱屈した状況を抜け出す。しかし、両親のドラマ、彼の苦悩する恋愛模様を遠くから見守り、アドバイスを与える不思議な隣人F・W。登場人物がみな文学に関わってるので、全体的にも文学的。ジュリアン・ステラーズという小説家が実は・・・といった驚愕の展開はあるけど、そこにいたる父と息子、母と息子の関係が絶妙だった。こうなりゃ、父の決断、母の物語も知りたくなる。
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