劇場公開日 2019年2月8日

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「家族への想いの数々の伏線にも関わらず、ブレスレットのラストシーンがリアリティを欠く方向に誘導されてしまった印象も…」ファースト・マン KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0家族への想いの数々の伏線にも関わらず、ブレスレットのラストシーンがリアリティを欠く方向に誘導されてしまった印象も…

2025年3月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

少し前に「ライトスタッフ」を観て、
その後日談的この作品を鑑賞したところ、
冒頭にイメージこそは随分と違っていたが、
チャック・イェーガーが登場して来たこと
には、「ライト…」のマーキュリー計画から、この作品のジェミニ~アポロ計画への継続
との意味でこの映画の中には入り易かった。

映像で魅せられたのは、
特にジェミニでの打ち上げシーンだった。
ひたすら宇宙船内に限った
振動だけで伝える演出で、
逆に緊迫感溢れる描写に感じた。

確かに、巨額の宇宙開発費には
考えさせられるものがある。
ケネディの演説から月着陸までの期間は
たったの7年。
デモの中で、黒人の
“白人が月へ…医者代が払えない”
との演説には、
月面着陸への歩みと並行して
ベトナム戦争等の地上の紛争を交互に描いた
ドキュメンタリー映画「宇宙0年」
を思い出させたが、
確かに技術・進歩と、平和・福祉との
バランスは
人類の永遠のテーマなのかも知れない。

ラストのブレスレットを月面で投げ入れる
シーンは創作ではないかと想像するものの、
亡くなった娘も含めた家族への想いは
この作品のテーマなのだと思うので、
エンターテイメント作品としては
許される範囲なのだろうと思う一方、
アームストロングに少しも似ていない
ライアン・ゴズリングの起用や、
せっかくのその想いの数々の伏線も、
エンターテイメント化作業のために
薄められた結果なのか、
このブレスレットのラストシーンに
取って付け感が出てしまい、
感動的ではあったものの、
結果として、リアリティを欠く方向に誘導
されてしまったような印象も受けた。

KENZO一級建築士事務所
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