劇場公開日 2018年9月21日

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「親父の一念 天にも通ず」スカイスクレイパー 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0親父の一念 天にも通ず

2018年9月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

単純

興奮

“ロック様”ことドウェイン・ジョンソン主演。
香港に新設された地上約1066m・階数240階の超高層ビル“パール・タワー”で大火災が発生。
災害設備の査定でビルを訪れていた義足の主人公が、地上98階・約500mに閉じ込められた家族を
救うため、火災を発生させた謎の武装集団を相手に単身救出に挑むサスペンスアクション作。

...

いつもなら武装集団どころかエイリアンの集団でも素手でノしてしまいそうなロック様だが、今回は
過去の事件が元で左脚が義足という設定。戦うどころか跳ぶにも走るにも大きなハンデを抱えた彼が、
家族を救うために腕力と知恵(と粘着テープ)で奮闘するという点が見所。

そして地上約1066mという、身の毛もよだつ高さの舞台!
あのブルジュ・ハリファの1.3倍! 『ダイ・ハード』のナカトミビルの6.5倍!というイカれた高度である。
宙吊りになったり細い足場を渡るシーンが出るのは
火を見る(実際燃えてる)より明らかな訳だが、
スクリーンで観るとヒイィィ……と血の気が引く高度感。今回は3Dでなく2D版で鑑賞したけど、
それでも高所恐怖症の人だったら泡吹いてるんじゃないかというシーンが3回くらいあった。
(まあそんな人はそもそも本作を観たがらない気もする)

世界一の高層ビルの大火災!というド派手なビジュアル、武装集団の目的を巡るサスペンス、矢継ぎ早に
繰り出されるアクションに家族ドラマ、と、アクションエンタメ作としての要素は盛り沢山である。

...

なので最後まで楽しめた……のだけど。個人的には今ひとつ鑑賞後の高揚感を得られなかったのも事実。

高層ビル+武装集団とくればアクション映画の金字塔『ダイ・ハード』をいやでも意識してしまうが、
超高層商業施設という舞台の活かし方やサスペンス面・ドラマ面での伏線の巧みさは比ぶるべくもなく。
まあ『ダイ・ハード』越えはあまりにハードルが高いにしても、序盤の説明からキャラ設定までで
ラストまでのおおまかな流れもぼんやり読めてしまうし、主人公が過去にケリをつける再生ドラマ
としての要素も弱い(それを意識したからこその元同僚登場や最後の展開だと思うのだが)。
つまりは、
舞台や主人公の設定はある程度ユニークだが、他のキャラ描写やドラマ運びは概ね定石通りで、
そのせいでド派手さや主人公の奮闘の割には、インパクトも感動も薄いと感じた次第。

あとは細かいツッコミ所。
序盤から『いくらそんな太腕でもそんなスピードで昇れるの?』と思ったが、以降もずっとロック様の
腕力頼みのシーンが続くので、終盤になると『ロック様の太腕が映ったぞ! もう大丈夫だ!』
みたいな安心感さえ湧くのはサスペンスとして良いのか悪いのか。
防災セキュリティももう少し権限や制御の一点集中を避けることは考えなかったのかとか、
いくら世界一の消火設備とはいえ性能良すぎやしないかとか、あんなに二酸化炭素ガス
吹き出したらあの場所にいた人物たちはまともに呼吸できるのかと心配になったりした。
まあエンタメ映画だし多少のツッコミ所は……とも思うけど……。

...

以上です。まあまあの3.0判定で。
ひとつ前の『MEG/ザ・モンスター』と同じくスコアは3.0判定を付けさせてもらったものの、
もっと細かく付けられるなら向こうが3.25判定、『スカイスクレイパー』が3.00判定と言った所。
ハンデを背負いながらもメチャクチャ頑張るパパの奮闘ぶりはカッコいいんだけど、
スケールや基本設定に幅を持たせただけで物語やキャラ描写がステレオタイプだと、
物語から人間味よりも作為性の方を強く感じてしまう気がして、ううむ。

にしても……学生時代、体育祭で建てた10mのやぐらに登っただけでも膝ガクガクだった自分としては
1000mどころか100mでも御免被りたいのだが……何故にそう高いものを建てたがるのかね人間は。

<2018.09.22鑑賞>

浮遊きびなご