劇場公開日 2018年6月15日

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「やや古い映画だが良い作品」ワンダー 君は太陽 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0やや古い映画だが良い作品

2024年12月12日
PCから投稿

今年433本目(合計1,524本目/今月(2024年12月度)12本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。

 シネマートの跡地にkinoシネマ心斎橋という映画館ができました。木下グループの「キノシネマ」がメインになりますが、キノシネマ心斎橋のサイトを見る限り、ぱっとどの作品が「木下グループの作品か」というのはわかりづらい事情もあるので、「現テアトル梅田と旧シネマートを足して2で割ったような映画館?」という感じになりますね。

 ストーリーとしては、生まれつきの顔の疾患などで小学校に行くことをずっと嫌っていたものの、5年生になるにあたっていってみようかと行ったら、案の定いじめにはあうものの、良い人も出会えその1年後(5年生の修了時)には…といった趣旨の映画です。

 障害や顔つきなどでいじめるというのは学校にせよ職場にせよありますが、特に初等教育という場においてのそれは、子供の「学ぶ権利」(子どもの学習権)との関係でまずいことになります。一方で、「顔がおかしい」などの「笑ってしまう」ところで「笑ってしまう」ことそれ自体をやめましょうというところに趣旨が伝わるかは、小学5年生(10歳くらい)ではギリギリかなという気がします。

 ほか、「ヴィア」パート(お姉ちゃんパート。オリヴィア)ほか3~4人の視点で描かれています。その中で「この子がこの障害を生まれてきたのも遺伝子の一致で…」といった話も出てくるので、「親側の善意有過失の出産によるもの?」という考え方も出てきそうですが、その「出産の責任の話」は一切出てきません。話の飛びすぎを抑える趣旨であろうと思います。

 日本においても、例えば火災・震災や重度身障・難病などで見かけ的に「顔にやけどが目立つ」など、何らかの意味で「顔にコンプレックスがある」状況は発生します(実際に東日本大震災だって起きました)。このとき、日本においては趣旨を考えて「個人が一部を隠すフード等を着用することは禁止しない」となっており(兵庫の震災のときも同様)、日本ではこの点、震災での「火事によるやけど」で多く生じる類型であることから、日本のほうが取り組みは早いほうです(むしろ、当該アメリカでも「なら、その部分だけフードをかぶっていく」という考え方はなかったのかな)。

 気になる手は多々あるものの、重度身障、難病等に相当しうる子の小学校等の初等教育に行く、周りをそれを応援するという、今現在2024年現在風にいえば「子供の学習権の実現、その学習権が担保されているかを大人それぞれが見守る」という部分に大半きます。この点については古い映画でもあるため明示的に触れられることはなかったですが、気が付く方はいるかなといったところです。

 採点に関しては以下まで考慮しています。

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 (減点0.2/映画全般の「選"択"の"択"が「選たく」「選だく」?という字幕について)

 映画内では「存在しない」英単語 supposably と、「存在する」英単語 supposedly がどちらも登場します。

 存在するのは後者ですが、不慣れな子は前者を使ってしまうことがあります。前者はたとえば、probably 「おそらく」といった語が基礎語であるため、こちらに「合わせる」傾向があり、そのため「存在しない」単語を作ってしまうことがあり、その「存在しない」単語に対して「Dをつけて使うのが正しい( supposedly が正しい語)」ということを主人公側が述べています。

 ただ、この点は特にネイティブでも誤用が多い使い方の一つであり、何らか字幕に工夫が欲しかったところです。

 (減点なし/一度しか出ていない人たち/「シャルロット」さんなど)

 「シャーロット」さんだっけ?最初に学校を案内して「たとえが全部音楽、芸能チックだから誰もついていけないから黙ってて」と言われてそうそうドロップアウトするシャーロットさん(シャルロットさん)など、一度しか出ない人は案外多いです(ただ、この作品は明日以降の2024年12月13日以降において予告されている続編について、「本作品であまり光の当たらなかった人を中心に描く第二幕」ということになっていますので(詳細は続編版参照のこと)、ここは微妙かなというところです。
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 (減点なし/参考/この映画と現在(2024年のつながり))

 本作品それ自体は明確なフィクションですが、本作品はいわゆる「言葉によるいじめ」がふんだんに、かつ年相当、時代描写も正しく登場するため(Wiiがギリギリあったころ)、他作品の同趣旨の映画と共に映画であることをことわった上で、大学等の研究対象としてしばしば登場します(なので、原題タイトル名に movie などで検索すると、論文などがヒットすることがあるが、この映画の福祉論の観点からの見方であったり、いじめ論であったりといったものがしばしばみられる)

yukispica