「ファンタスティック・ビーストと酷い脚本の誕生。 誰かローリング女史に忠告出来る人間はいないのか…😓」ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
ファンタスティック・ビーストと酷い脚本の誕生。 誰かローリング女史に忠告出来る人間はいないのか…😓
魔法ファンタジー映画「魔法ワールド」シリーズの第10作にして、魔法生物学者ニュート・スキャマンダーの活躍を描く『ファンタスティック・ビースト』シリーズの第2作。
前作から1年。脱獄したグリンデルバルドを追い各国の闇祓いたちがパリに集う。喧嘩別れしてしまったティナと再開するため、ニュートもまた陰謀渦まくパリへと向かう…。
脚本/原作はJ・K・ローリング。
○キャスト
ニュート・スキャマンダー…エディ・レッドメイン。
ゲラート・グリンデルバルド…ジョニー・デップ。
クリーデンス・ベアボーン…エズラ・ミラー。
ポーペンティナ・ゴールドスタイン…キャサリン・ウォーターストン。
クイニー・ゴールドスタイン…アリソン・スドル。
新たなキャストとして、若きアルバス・ダンブルドアを演じるのは『シャーロック・ホームズ』シリーズや『グランド・ブダペスト・ホテル』の、レジェンド俳優ジュード・ロウ。
ニュートの学生時代からの友人、リタ・レストレンジを演じるのは『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のゾーイ・クラヴィッツ。
前作『魔法使いの旅』は、シリーズ最初の作品ということもあり、一本の独立した映画という印象が強かった。
しかし、今回はかなり次回作を意識した内容の映画になっており、また旧シリーズである『ハリー・ポッター』の要素を色濃く反映させた作品となっている。
若きダンブルドアやホグワーツ魔法魔術学校など、『ハリポ』シリーズのファンなら泣いて喜ぶサービスが盛りだくさん。
さらに、みぞの鏡やまね妖怪のボガート、『賢者の石』で名前だけは言及されていた錬金術師ニコラス・フラメルがついにスクリーンに登場するなど、ついついニヤリとしてしまう小ネタも沢山仕込まれている。
まさかナギニが元人間だったとは…。これには多くの観客が驚いたのではないだろうか。
新たな魔法生物も見どころの一つ。海藻のような姿をした水魔ケルピーや日本人にはお馴染みのカッパなど、不気味だが目が離せない、魅力あるクリーチャーが登場。
特に中国にルーツを持つという巨大生物ズーウーは迫力満点!怖さと可愛さを併せ持つ、素晴らしいデザインでした♪
魅力的な東洋描写が多かった今作。アジアを舞台にした「魔法ワールド」シリーズというのも面白いかも知れません。次シリーズはこれでどうすかローリング女史?
過去最高にダークな世界観が提示された本作。直接は描いていないにしても、赤ん坊や幼児が死んでしまうというのはかなりショッキング。
ボガートがリタに見せた白いヒラヒラ。初めは何のことやらわからないのだが、映画を観ていくうちにその正体が判明する。そりゃこれはキツいわ…。
ファミリー映画らしからぬ描写の数々には、このシリーズをただのジャリ向け映画には終わらせないぞ、という製作陣の強い意志を感じる。
この肩に力が入りすぎている感じ、嫌いじゃないっす👍
なんだかんだ見せ場も多いし、退屈する映画ではない。
…ただ。ただ、この映画の脚本、完全に破綻している💦
あまりにもとっ散らかりすぎていて、登場人物が今何をやろうとしているのか、何を目的にして行動しているのかが非常にわかりづらい。
クリーデンスの出生の秘密を探ることが、今回のお話のキモ。
…いやいや、クリーデンスの出生になんか、1ミリも興味ねぇぞ😅
ニュートと兄・テセウス、そしてリタ・レストレンジの三角関係やダンブルドアとグリンデルバルドの因縁など、深掘りしていけばもっと面白くなりそうな要素が沢山あるのにも拘らず、なぜクリーデンスをお話のメインに据えようと思ったのか…?
クリーデンスがリタの弟なのか否か、とかそんな重要?
どうみてもモブキャラにしか見えないユスフ・カーマさんが荒ぶってたけど、このキャラに思い入れも何もないから、破れぬ誓いがどうしたこうしたとか言い出したところで、なんの感情も動かない。
一番問題あると思ったのは、2作目にしてもう既に『ファンタスティック・ビースト』要素がなくなってしまっているところ。
せっかく魅力的な魔法生物たちが出てくるのに、完全に脇に回ってしまっている。
これなら『ファンタスティック・ビースト』の看板は下ろして、『ニュート・スキャマンダー』の看板を上げればいいんじゃない?
1作目みたいに、もっと魔法生物をフィーチャーした物語じゃないと『ファンタビ』の意味がない。
早々にコンセプトが破綻してしまっているこのシリーズ、先行きが不安でしょうがない…。
ちょっと話がズレますが、長期連載している少年漫画には、だいたいおんなじような問題点があると思っている。
①どうでも良いキャラクターが増えすぎて渋滞を起こしている。
②1コマに情報を詰め込みすぎていて、ごちゃごちゃして見にくい。
③以前見た展開を再び繰り返す。
④展開を引き延ばしすぎて薄っぺらい物語になっている。
本来これらは編集者が口出しして修正させるべきである。
それが直っていないのは、漫画家が編集者よりも力を持ってしまい、口出しする事が出来なくなってしまったためなのだろう。
本作にはこの長期連載少年漫画の問題が全て詰まっている。
これは偏に、J・K・ローリングに口出しできるプロデューサーや監督がいないという事なんだろう。
誰か「ローリングさん。この脚本クソつまんないっす。やりたい事が不明瞭でわかりづらすぎますよ」と一言言ってあげられる人がいれば良かったんだろうけど、天下のJ・K・ローリングにそんな事言える人いないわな😓
グリンデルバルドの台頭、闇堕ちしたクイニー、ダンブルドアの血筋である事がわかったクリーデンスなど、なんだかんだ盛り上がりそうな予感はする。
今作はセットアップに終始していた感があるので、次回からは面白くなることに期待したい。