「同調圧力のようで違和感」恋は雨上がりのように erimakiさんの映画レビュー(感想・評価)
同調圧力のようで違和感
率直にキャスティングは良いと思った。
何と言っても小松菜奈。
演者の魅力だけで延々観ていられる映画に時々出会うことがある。彼女もそんなパワーを持った女優だと思った。
雨に打たれながら想いを吐露する彼女は何と絵になることだろう。可愛いと言うには妖艶、美人と言うには童顔な、独特の魅力がある。特別演技が素晴らしいとまでは思わなかったがこのままキャリアを重ねて順調に実力をつけると唯一無二な大女優に成り得るとさえ思った。
そして大泉洋。モテないキャラをどう見てもイケメンな俳優が演じて「はぁ?」な時はよくある。しかし彼はブサイク過ぎず、イケメンでもなく、特有のファニーな性分がいい具合に冴えないおっさんという役柄にマッチしている。
他にも脇を固める濱田マリや吉田羊なども独特の味が出ていて良い。
ただストーリーに関しては称賛し難い部分はある。原作未読なのであくまでこの映画だけの印象。
設定上では、本心は陸上やりたいけどブランクあるしなんだかんだ目を背けている、ということなるんだろう。
まわりはこぞって彼女にプレッシャーをかける。「いつまで目を背けてんだ?」「本当はバイトしてる場合じゃないだろ?」「一番やりたいのは陸上だろ?」
彼女自身、陸上したくてたまらない気持ちを表す描写があればまだわかる。しかしそのようなシーンがほとんどない。よって何となく流されて「やらなきゃ」みたいな気持ちにさせられているようにも見える。まるで一種の同調圧力に見えて若干気持ちが悪かった。
加えて全体を通してインパクトが弱いなと思った。ハグ止まりではなく、キスシーンまであったらいいのに。いや、例えばの話。それくらいのインパクトは欲しかった。当たり障りない展開はよく言えば無難だが退屈だ。
まとめるとストーリーはいまいち、主演二人は良い、以上。