「邦題の由来が素晴らしい忘れ得ぬ傑作」ナチュラルウーマン よねさんの映画レビュー(感想・評価)
邦題の由来が素晴らしい忘れ得ぬ傑作
昼はウェイトレス、夜はナイトクラブでボーカルをやっているトランスジェンダーのマリーナは年上の恋人オルランドと同棲中。中華料理屋で自分の誕生日を祝っている時にオルランドはイグアスの滝を見に行こうと提案、喜ぶマリーナ。しかしその夜、オルランドは体調の異変を訴え、慌てて病院に搬送するが亡くなってしまう。動揺するマリーナはオルランドの弟ガボに事情を告げるがオルランドとマリーナの事情を知るガボはこの件はまだ誰にも知らせるなと告げる。そしてマリーナはオルランドの死に事件性があると疑う刑事、オルランドの家族から偏見に満ちた仕打ちを受けることになる。
オルランドが亡くなった瞬間から自分を待ち受ける様々な困難に自覚的なマリーナが、傷つきながらも愛する人のために何を為すべきかを見つめ行動する姿が痛々しくも美しい。オスカーの外国語映画賞ほか数多の賞レースを制したのも当然の、実に力強く美しい作品でした。マリーナが車の中で聴いているアレサ・フランクリンの曲タイトルがこの邦題の由来ですが、歌詞がさりげなくマリーナの心情を代弁する見事な選曲。そこからタイトルをつける計らいもまた美しいです。
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