「映画に憑かれた者たちの狂宴」カメラを止めるな! マユキさんの映画レビュー(感想・評価)
映画に憑かれた者たちの狂宴
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低予算ながら破格のヒットを飛ばしたホラー映画と言えば、ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス監督『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を思い出す。しかし、本作はホラー映画ではなく、映画制作の舞台裏を撮ったメタ映画だ。
構造は三重の「ミーズ・アン・ビーム(紋中紋)」になっていて、チープなゾンビ映画(一重目)を撮影する、熱心過ぎてヤバい感じになった監督とスタッフたちを本物のゾンビが襲う(二重目)、というストーリーの特別番組を生で撮るスタッフのスラップスティック(三重目)というものだ。
生放送の最中に起きる数々のトラブルをどう切り抜けるか、が笑いのポイントになっている。同時に、映画を作る人たちの葛藤や熱意が伝わってきて、胸が熱くなる、という感動のフックも仕掛けられている。よくできた娯楽映画であることは間違いない。
有り体に言えば、のめりこんで作品を作ることは「狂気」と隣り合わせだ。その狂気じみた熱気のほとばしりをいちばん感じさせるのは、本当のエンドロールで流れる本当のスタッフたちの撮影の様子からだ。映画制作の得体の知れない魅力に取り憑かれた者たちの狂気。
その意味で、園子温監督『地獄でなぜ悪い』を彷彿とさせる。盗作疑惑が持ち上がっているが、スタッフたちの熱意がないがしろにされないように解決してほしいものだ。
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