「実にもったいない」あいあい傘 META坊さんの映画レビュー(感想・評価)
実にもったいない
前半はまるで面白くない漫才やコントでも見せられているようで、不快感が募るばかり。
これが吉本新喜劇だったら笑えるのかもしれないが、映画でこれはやり過ぎだし有り得ない。
予告編に釣られて、きっと親子や家族の心温まる感動作品に違いないと期待して鑑賞を決めたのに、マジでこれは失敗したかなと思った。
それでも我慢して途中で席を立たなかったのは我ながら偉いぞw
25年前に姿を消した父は、苗字を変えて別の家族と暮らしている。
自分達母娘は苦労してきたのに、幸せそうに暮らす父とその家族が許せない。
そして父との再会、そしてお涙頂戴。
落語の演目にでもありそうなベタなストーリーだけど、わかっちゃいるのに、迂闊にも涙が頬を伝いましたよ。
良かったのは車海老(トミーズ雅)がさつき(倉科カナ)に語りかけるシーンからここまで。
クライマックスが感動的なだけに、前半の酷さが実にもったいない。
とにかく脚本がイマイチだし演出はくどいし、不要なシーンが山ほどあって、その辺をスパッと削ぎ落として、もっと重要なシーンを丁寧に描いたら、どれだけ素晴らしい作品になったことか。
カット割りもそう。
尻切れトンボみたいにあっさり場面が変わったりして落ち着かない。映像自体は夜のシーンがキレイなだけに、とても残念だ。
男はつらいよの寅さんと被る清太郎(市原隼人)をはじめ、その取巻きも口は悪いが皆んな良い人だし、優しい人達ばかりだ。
特に父六郎(立川談春)の内縁の妻玉枝(原田知世)は、本当によく出来た女性で、観音様のような人。
こんな人が嫁さんだったら人生・・・いや、なんでもない。
そんなわけで、期待した分だけ残念に思える作品でした。
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