劇場公開日 2018年4月6日

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「欲望の深い海を潜航する。」娼年 syu32さんの映画レビュー(感想・評価)

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4.0欲望の深い海を潜航する。

2018年9月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

萌える

Blu-rayで初鑑賞。

公開時に原作を読みました。観に行きたかったのですが劇場に足を運べず、ようやく観ることができました。感無量(笑)

石田衣良の小説は「I.W.G.P.」シリーズや「眠れぬ真珠」、「夜の桃」などを読んだことがありますが、総じて思うのは女性の描き方が本当に上手いなということ。
作品に登場する女性たちはリアルで、目の前にその輪郭が浮かんで来るようです。心の機微が丹念に描写されていて、何でそこまで分かるのだろうと作者の洞察力が羨ましくなりました。それに、文章のひとつひとつがとても繊細で美しい限り…。
本作の原作もご多聞に漏れずでした。登場する全ての女性、それぞれの持つ欲望の形のどれもが愛しく感じられ、それに触れることで成長していくリョウの姿が繊細なタッチで描かれていてとても感動しました。その印象を引き摺っての鑑賞でしたが、個人的には全く期待を裏切られることなく、原作の読後感と同じような静謐な気分に浸ることができました。

松坂桃李はリョウ役にピッタリ。誰もが太鼓判を押すんじゃないでしょうか?
どこか斜に構えているような仕草が、表情も含めて抜群に上手いなと感じました。
退屈だった毎日が輝き出し、それに連れて感情が豊かになっていく様を作品世界に合わせたのだろう抑えた演技ながらも、見事に表現しているように思いました。
始めは目を覆っていた前髪が、娼夫の仕事を通して成長していく中でだんだんと上がっていくところがさり気無くていい感じ。視野の広がり、ということでしょうか?

リョウの前に登場する多彩な女性たちひとりひとりが本当に魅力的でした…。それぞれが秘めた欲望をさらけ出すとき、真の美しさが現れて来るように感じました。それを体現する女優陣の演技力に舌を巻きました。
大胆で淫らな側面が浮き彫りになり、全てが剥き出しになった瞬間、何もかもをかなぐり捨てて欲望のままに求め合う…。本作で描かれる様々な形の濡れ場が感情を揺さ振って来ました。
原作が持っていた場面の美しさに加えて、映像ならではの生々しさがあり、さらには快楽に溺れることへの儚さと怖さと切なさを感じました。

使い古された表現だとは思いますが、観ていると次第にどこまでも深いところへ沈んでしまいそうな恐ろしさがありながら、それにいつまでも身を委ねていたくなる感覚に捕らわれました。
その後には、体中を取り巻いていた澱が全て流れ落ちて、芯から浄化されていくようなふとした爽快感が訪れ、やがて気怠い時間が流れるような…。何だか一仕事終えた気分になりました(笑)

ここで気になった点を少々…。
監督の指示なんでしょうが、あの前戯だけはいただけないなぁ、と…(笑) 下手くそ過ぎる…。あんなに激しくしたら痛いですよ。気持ち良くないんじゃないかなと思いました。かつて怒られたことがあるので…。もっと労わらないと。デリケートな部分なんだから!
始めの方でリョウは女性をつまらないと感じているから、思いやりが無くて独り善がりになっているせいなのかなと考えていましたが、後半になっても全く改善されないので、単なる監督か演者の経験値の問題なのかもしれない…。
私も他人にとやかく言えるような立場ではないですが、他のレビューを読んでそう感じたのが私だけじゃないんだなと少し安心しました。あれが許されるのはマジでAVだけでしょう(笑)

本作のシーンは全てにおいてとても艶めかしくエロティックで、薄絹に指を滑らせているような滑らかな質感の映像がものの見事に原作の世界観を表現しているなと思いました。
画面に、まるで深海のような幻想的な揺らめきを感じました。夜や暗い場面が多いので余計そんな風に感じたのかもしれません…。いい映画を観たなと素直に思えました。

余談。
本作では女性限定の応援上映が開催されていましたが、どこをどんな風に応援するんでしょうか…少し気になりました(笑)

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しゅうへい(syu32)
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