「欲望に寄り添う」娼年 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
欲望に寄り添う
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朝早くからだいぶ濃密な時間であった。
描写の細かさは想像以上で、そこまでやるかよ!?と笑ってしまうシーンも多い。
でも、紺とグレー基調の映像の美しさも相まってただのエロだけにならずショーアップされているのがとても好き。
男女自他問わず人間の欲望について・その深さ多様さについてよく考えているので、そこに寄り添い受け入れてくれるこの映画に何か救われたような気分になった。
だからといって全ての欲を容認して何でもしていいなんて事は絶対にないんだけど。
領が仕事を重ねるたびに内面も外見もどんどん変わっていくことに感心してしまった。
何事もつまらなそうな顔をしていたけど、ひとたび殻を破れば意外と純粋で仕事に対してプロ意識を持って臨んでいて。
客や周りの人間たちの物語と、領自身の変化について描いたオムニバスストーリーのようにも観られて楽しかった。
このままどう結末に向かって行くのかと思っていたけど、終盤は全て絡めしっかり展開してくれて良かった。
領と咲良と静香の濃密な情事の描写が今までで一番ドラマチックで好き。
性描写は多いんだけど全てシチュエーションやバックの物語が違って本当に面白かった。
アズマとのシーンと年の差夫婦のシーンが特にお気に入り。
人間ドラマもきちんと描いてくれてそれぞれの感情がきちんと伝わってきたのも良い。
愛の渦とはまた違った形で人間の欲望に触れることができる、私の好きな映画だった。
ただ、綺麗事も多かったかな…
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