「『愛すべきモロンムービー』」アンツ・パニック 巨大蟻襲来 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
『愛すべきモロンムービー』
自宅(CS放送)にて鑑賞。フィンランド・スペイン合作、日本劇場未公開で、原題"It Came from the Desert"。そもそもは『放射能X('54)』を元にした'89年、Amiga製PC用にCinemawareがリリースした原題と同タイトルのゲームソフト映画化作。ゲーム版と全く同じナレーションから始まり、展開もほぼなぞっているらしい。基本、おバカ映画だが、侮るなかれ、CGIを含めしっかり作り込まれており、シナリオにも無理が少ない。媚びた笑いや内輪受けする様なのも含まれず、気負う事無く気軽に愉しめる。65/100点。
・バイクアクションも悪くなく、荒れ地に砂埃、砂塵を巻き上げ疾走するバイクは絵になると再認識。ライバル兄弟との和解やラブロマンス等も定番中の定番ながら、盛り込まれており、好みの差はあろうが、全篇憎めず可愛いらしい出来栄えであると感じた。
・北欧フィンランドのプロレス団体FCF(Fight Club Finland)に所属するリングネーム“スターバック”ことM.マヤラハティ扮する“必殺マン(Eradicator)”と云うヘルメット被っただけの謎のヒーロー。ピョンピョン跳ねたり、飲酒後、ゲップ迄してしまう『キングスパイダー('03)』に登場した蜘蛛と同じく仲間同士で喋る蟻達。ラスボスであるいかつい女王蟻は飛べない様で、翅は飾りなのだろうか……他にもトホホな設定は数々あれど、その殆どが確信犯に思え、許せてしまう。
・先述通り、ゲーム版と同じナレーションがあり、その67年後の現在からいよいよ本題へ入る。ラスト前のミドルクレジット時はドット絵で本篇のハイライト(主に蟻との攻防)が振り返られる。その後に続くスタッフロールは、クレジットが上下へスクロールする右側で、ゲームソフト版のプレイ画面が流れ続け、エンドコール(ラストカット)もゲーム風になっている。
・A.ミルズ扮する“ルーカス”の持つ携帯の着信音は、ゲーム版のBGMである。撮影は、主にスペインのアンダルシア州アルメリア県ロダルキラルでのロケとフィンランドのスタジオで行なわれ、僅か20日間で終わったと云う。
・鑑賞日:2019年2月7日(木)