「奥義“クレヨンしんちゃん拳”」映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
奥義“クレヨンしんちゃん拳”
映画クレヨンしんちゃん26作目。
毎回毎回ユニークな題材がメインに据えられるが、今回は、『クレヨンしんちゃん』でカンフー!
…まあまあ、なんでカンフー?なんて事はこの際置いといて。
春日部にある中華街“アイヤータウン”。
そこで、カンフーを習い始めたマサオ。
彼に誘われ、しんのすけたちもカンフーを習う。
九つの“ぷにぷに拳”を会得し、目指すは伝説の奥義“ぷにぷに真掌”。
マイペースな師匠の下、一番弟子のランと共に、日々修行に励む。
その頃、春日部で怪事件が。
“ブラックパンダラーメン”製造の“食べたら病み付きになるラーメン”を食べて、人々が狂暴化していた…!
カンフーが題材なので、往年のカンフー映画のパロディーやオマージュ満載。
カンフー映画好きならニヤリとさせられるシーンもちらほら。
話の方も、修行して、横暴な悪漢が居て、それに立ち向かう…というカンフー映画の定番。
『クレヨンしんちゃん』という珍味を加味しつつ、前半は意外と正統派のカンフー・ムービー!
今回のメインキャラのランは、初期のクレヨンしんちゃん映画によく出ていた実質主役的ヒロイン。
明るく、ユーモラスな性格で、アクション仮面が好き。しんのすけとも気が合う。
元々孤児。アイヤータウンに育てられた。
正義感とアイヤータウンを愛する気持ちは人一倍強い。
ここ、終盤の展開の伏線。
主な舞台が春日部なので、お馴染みのキャラからサブのサブキャラまで多数出演。
売り上げ重視のチェーン店。クレーマーやコンプライアンスなどをチクッと風刺。
毎回ゲスト出演するその年人気になったお笑い芸人。今回はあのコンビ。
クレヨンしんちゃん映画は一作ごとに野原一家とかすかべ防衛隊の活躍が入れ替わり。
今回は、かすかべ防衛隊。
中でも、マサオに注目。
皆より先にカンフーを習い始めたマサオ。
その自信からか、幼稚園で不良園児に絡まれても泣かない。いつものマサオくんじゃない!
が、皆と修行を始めると、遅れを取ってしまう。と言うか、一つも技を取得出来ない。やっぱりいつものマサオくん…。
しんのすけに至っては、次々と技を取得。カンフーの天才児だった…?
それが悔しいマサオ。
つい、兄弟子だからと威張ったりしてしまう。
この人間的なダメダメな面や弱さ、分かるわ…。
嫌になり、遂にはかすかべ防衛隊を辞めると言い出すが…、
毎日地道でもコツコツと。
終盤、思わぬカッコよさを見せる。
かすかべ防衛隊の友情もいつもながら熱く、ほっこりと。
“右肩上がり”の勢力で、アイヤータウンを春日部を牛耳っていくブラックパンダラーメン。
師匠も敗北を喫してしまう。
そんな時、しんのすけとランが遂に九つの技を制覇。“ぷにぷに真掌”を会得する為、“ぷにぷにの地”に赴くのだが…、
ここの展開がかなりシュール。
カンフー映画から話がヘンな方向に…と危うくなるが、ちと意外な展開に。
ブラックパンダラーメンのボスと闘うが、その闘いの中で、闘う相手が、“悪”ではなく“正義”に。
誰がとは敢えて言わないが、憎しみ孕んだトゲトゲガツガツの正義感は、悪と紙一重。
正義とは? 平和とは?
ちょいと考えさせられる。
そんな絶対的正義に立ち向かうしんのすけたち。
その解決方法は…。
いかにも『クレヨンしんちゃん』らしい。
あの歌、耳に残る。
終始カンフー映画のノリを期待してたら、オチなど呆然とさせられるかもしれないが、おバカで、ユルユルぷにぷに、平和的に。
これぞ奥義“クレヨンしんちゃん拳”。
さて最後に、以前別の作品で触れたが、また改めて。
今年6月にしんのすけの声を勇退した矢島晶子さんにとって、最後のクレヨンしんちゃん映画に。
「お疲れ様でした」「ありがとうございました」の言葉を贈ったが、本作の台詞の中から、もう一つ言葉を贈りたい。
再見!