恋とボルバキアのレビュー・感想・評価
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性自認の揺らぎを自然に捉えた見事さ
LGBTという、性的マイノリティを指す用語が一般化し、生の多様な側面が社会にも浸透しつつあることは間違いない。
しかし、ゲイでもトランスジェンダーでもそうしたカテゴライズ自体に残酷な側面があることを忘れてはいけない。カテゴライズとは線を引くということに他ならない。線を引けば、かならずそこからあぶれる人々がいる。男/女の2つしかない時代にどちらにも入れない人々をLGBTというカテゴライズは吸収したろうが、今度はLGBTに入れる人は誰か、という話になる。
この映画はそうした線引きの誘惑を退けている。そもそも性自認はストレートであれ、少数志向なものであれ、固定的なものではなく曖昧で流動的なものだということを、この映画のカメラは実に自然に捉えている。
化粧男子の魅夜は店を畳んだ理由に、従業員たちの「トランスジェンダーはこうあるべきだ論」に疲れたからと吐露する。
男と女の2種類からLGBTが加わり6種類になったのではなく、一人ひとりが何にもカテゴライズされない「人間」であるべきだ。
この映画のカメラは静かに優しくそれを伝えてくれる。
出演者さんの人生観や覚悟、哲学が垣間見える作品です。
LGBTとしての価値観。よりも、ひとりの人間としての価値観に胸を打たれる機会が多かった。持っている武器、欠点、立場を受け入れた上でどう生きるか。出演者さん4人にしっかりとスポットライトが当たった胸を打たれる作品だった。
今輝いて見える人でも、その裏で泥臭い努力とか辛い経験を乗り越えていることを改めて認識させられた。自分自身も行動すること、挑戦することの大切さを実感し、その勇気を与えて下さる映画だった。
ドキュメンタリーとして素材を生かすために、編集にも余分な手を加えていない点も見やすくて良かった。
洞察力と社会性を欠いた凡作
申し訳ないがつまらない。一体監督の興味はどこに向かっていたのだろう?今この時代にあってなお、「オカマ」への下世話な好奇心だけでレンズを向け続けているように思えてしまった。まるで昭和の時代のような。
その理由の一端は、LGBTがこれだけ認知度を高め、当事者の発信力も強くなっている今の時代・社会性が描かれていないためのように思える。監督の個人的な好奇心だけで突き進んだ結果が、「同性愛者の恋愛話」という、言葉は悪いが狭く下世話で陳腐な内容に終始させてしまったのではないか。
前作でも感じたが、監督は社会と向き合う視野を持っと広めた方が良いのではないだろうか。あくまでもセルフドキュメンタリーという私的映画を探求するならば、これ以上意見は言うまい。
星二つは、自分の興味を最も大切にして創作する、監督の行動力への賛辞である。同じ映像制作者として、その点には最大限の敬意を表する。尊敬に値する。
劇場前のポスターに目を惹かれ観に行きました。 ポスターとてもオシャ...
劇場前のポスターに目を惹かれ観に行きました。
ポスターとてもオシャレです。
劇中に使われる音楽も映画にあっていて、α波が出るようなゆったりする気持ちになるようなとてもいい音楽でした。
映画の内容は何名かの登場人物の生活に密着したドキュメンタリー映画。
一目惚れした彼女は彼で私は女で・・というカップルが登場する。彼らが悩んでいるのは、そろそろ結婚がしたい。子供がほしい、もっと愛されたいなどそこらへんにいる若者カップルとなんら変わらない。
とあるタクシー運転手は東日本大震災をきっかけに女性になりたいと打ち明ける。結婚式をした何十年も前の当時、奥さんが選んでいたウエディングドレスをどれかけ自分が着たかったかを語る。
言えるようになった今とても輝いた顔をしていたのがとても印象的でした。
時代がやっと追いついてはきているが、まだまだ一般企業に勤めたりすることは難しいと劇中で語っている若者も。
男か女かだけでは語れない性別もあるということを知ったのと、将来的にはもっといい世の中になっているといいなと思った、そんな映画でした。
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