「続編監督の尻込みとプレッシャー、そして前作への畏敬にあふれた・・・...」パシフィック・リム アップライジング 雨丘もびりさんの映画レビュー(感想・評価)
続編監督の尻込みとプレッシャー、そして前作への畏敬にあふれた・・・...
続編監督の尻込みとプレッシャー、そして前作への畏敬にあふれた・・・なんて愛らしい一本!!!
本作の主人公は、前作の怪獣大戦争で大破・放置されたイェーガーのパーツを盗んで転売している泥棒と、同じくそのパーツから自作のイェーガーを造って、来るべき”次の戦い”に備えている孤児の少女。
この二人、私には、新監督スティーヴン・S・デナイトの化身に見える。
大傑作「パシフィック・リム」のオコボレで食うことになったという自嘲ギミな諧謔と、前作への愛が溢れすぎてしまい二次創作に勤しむまでに膨張したファン愛、それぞれに思えてならないんだわ。
その二つの気持ちがタッグを組み、強大な怪獣に挑む、という構造に、なんかわからないけど熱い気持ちになっちゃった。
いまいち決まらないキメ台詞や、戦力不足な技術をなんとか駆使して、
時々「どーせあたし拾われただけだし」とか腐りながら、
それでも、続編つくるんじゃあー俺たちパシフィックリム大好きだからー!って、号泣笑顔で微笑んでくる。
・・・もうさ、ブレイン・ハンドシェイクしまくりよ(泣)。
ボイエガ扮するジェイクが、父親への未練を吐露するシーン。
シェイプオブウォーター制作のため途中離脱したデルトロ監督と、本当は一緒に闘いたかったんだろうな、映画作りたかったんだろうなっていう未練に感じられ、ことさらに愛おしかった。
脚本の粗さ、活かしきれない登場人物たち、重量感を感じないイェーガー。体当たりしかしてこない怪獣。
ベストを尽くしてもまだ届かない伝説(オリジナル)の高み。
その戸惑い、焦り、悩み、すべてが前作への大きすぎる愛から来ている。
ヌルさすらも愛おしい。行き届かなさが愛らしい。
続編というより「返歌」な一本。
これを励まさずして何がパシフィックリムファンだ。何が仲間だ。