「駄作ではない。しかし愛が足りない残念な続編」パシフィック・リム アップライジング Ko Fuさんの映画レビュー(感想・評価)
駄作ではない。しかし愛が足りない残念な続編
とりあえず良いところを先に書くと、CGの進化!ここ数年でハードの性能も飛躍的に上がったこともあり、前作よりはるかにCGは綺麗に、見やすくなっている。前作は暗闇でCGを誤魔化しつつも表現力でそれを逆利用し重圧感を出していたが、今回は誤魔化し抜きで表現している。
で。ここからマイナス点だが、上に書いたこと以外全部である。確かにCGは進化したが、代わりに重圧感がなくなった。スマートなロボットはみんな軽そうで、パワードスーツを着て戦うヒーロー映画やトランスフォーマーシリーズと何ら変わらない、つまり見ていて面白味のないものに成り下がってしまっている。カメラワークも安直で、前作の「クドイ」と言われても愛に溢れたカッコイイ場面が無い。全くないわけではないが前作を見たときの高揚感は皆無であった。
何が原因なのか考えたが、恐らくは愛の無さと5年という歳月だろうと思う。5年は長すぎた。その間に様々な怪獣映画リスぺクトの映画が創られ、トランスフォーマーシリーズがロボットバトル映画を牽引していた。当然、それらを見た観客の目は肥え、同時にパシリムへの期待値は上がり続けていた。視聴中、私はずっと叫びたかった。特に前半。「俺が見たかったのはパシリムだ。マーベルヒーローでもなければトランスフォーマーでもない。パシリムなのだ」と。
そして監督は確かにロボットや怪獣やバトルが大好きなのだと思う。しかし、「好き」なだけで「愛している」わけではないのだと思う。デル・トロ監督は「愛」の人でありオタクであり病気レベルだったが、今作の監督はそれに達していない。だから「クドイ」カメラワークも無ければ、これでもかという重圧感や高揚感溢れる展開にすることができなかったのだろうと思う。
とはいえ、制作延期から脚本変更など問題を孕みながらもこうして完成して公開してくれたのは嬉しい限り。デル・トロ監督が特異すぎたのだと思えば、決して駄作ではないし完成度は悪くない。
最後に。
チャイナマネーが働いたのは仕方がないが、あまり露骨に中国ヨイショし過ぎると批判を買うから止めた方がいいと思う。