「デルトロ不在。ユニバース化したパシフィック・リム。」パシフィック・リム アップライジング ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
デルトロ不在。ユニバース化したパシフィック・リム。
結論から言うと、"アクション映画として"はそれなりに楽しめました。
けれども、デルトロの"パシフィック・リムの続編"として振り返ると色々と不満点が残りました。
まず、新キャラクターと新イェーガーですが。
これが全く魅力なかったです。
魅力ゼロです、ゼロ。
ロシア製チェルノアルファ×ガイダノフスキー夫婦。
中国製クリムゾンタイフーン×少林寺の使い手3人。
…などと言った、前作での個性的なイェーガーやお国柄をディフォルメしたパイロットといった組み合わせなどは一切なし。
どのイェーガーも八頭身の無個性なシルエットで、使用武器も前作の流用ばかり。
挙動も軽い軽い、鈍重な前作とは真逆、まるでトランスフォーマーかと。
おまけにパイロットはこれまた無個性な子供ばかりで、国籍もなにもめちゃくちゃです。
前作に比べ脇を固めるパイロットのドラマに尺を割いてるにも関わらず、見終わってから誰も印象に残ってないのも残念すぎます。
怪獣にも愛がない。
まず、動物的な可愛げが全然ないんですよ。
前作みたくパンチくらって目を回したりとか、そんな描写も一切なし。
前作のキャラクターに対する救済処置もなし。
それどころか、中国市場を意識しての最悪な退場劇すら御都合主義的に組み込まれるという。
スポンサーの都合とはいえ、あまりに露骨過ぎますよね。。
ストーリーも至極単純で、まるで戦隊ヒーローですね、とても大人の鑑賞に堪えるものじゃありません。
この辺りにデルトロの不在をひしひしと感じました。
ロボットアクション自体はそれなりに見応えありましたが、それらは他のレビュアーさんに任せます。
とにかくデルトロ作品の続編としては完全にNGライン。
行き過ぎたユニバース化で作品そのものの魅力が損なわれるのは見ていて辛いですね。
時代の流れを感じた一本でした。
最後に…、往年のロボットアニメを思わせる吹き替えはなかなか良かったです。