劇場公開日 2019年1月25日

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「アブドゥルの気持ち」ヴィクトリア女王 最期の秘密 yukarinさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0アブドゥルの気持ち

2019年1月26日
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鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

前半は、かなりユーモアに溢れていて、クスクスと笑いがこぼれる。
けれど、中盤からどんどん雰囲気が変わって来る。

ヴィクトリア女王のアブドゥルに対するお気に入りっぷりが凄くて、しかもインド人でイスラム教徒、周囲の人々はそりゃ面白くなくて当然。
なんとかアブドゥルを排しようと画策するも、うまくいかない。
周囲のそういった言葉に従わず、アブドゥルを重用し続けるヴィクトリア女王だったが、その状況をよく理解していたため、アブドゥルに帰るように告げる。自分がこの世を去れば、どうなるか分からない。その日は遠くない、と。
しかし、アブドゥルはひかない。

実話に基づくこの話、女王の死後、長く隠されて来たこの話が再び世に出たのは、映画によると、アブドゥルが残した手記によるとのこと。
それにもかかわらず、アブドゥルの気持ちが見えなかった。
祖国を離れ、敵ばかりと言っても過言ではないイギリスで、そこまでして女王のそばに居続けたアブドゥルの気持ち。
ヴィクトリア女王への友情や敬意、理由などない人との繋がり、それはよく分かるのだけれど、手記が残っているなら、アブドゥルの視点やアブドゥルの気持ちがもう少し知りたかった。
共にイギリスに行ったモハメドのことも、なぜ帰してやらなかったのか、あれほど帰りたがっていて、イギリスで暮らすことが合わなかった彼を。
寵愛を受けたアブドゥルなら、それを女王に言うことが出来たのでは?

ヴィクトリア女王が、身分や人種や宗教を超えた友情を育める度量は素晴らしいと思ったし、夫の死後、喪服を着続けたほど情が深く、孤独な人間らしい一面も見えた。
けれど、ジョン・ブラウンのエピソードといい、誰かを重用しつつ、周りが嫉妬したり、ヤキモキしないようにするのは、彼女ほどの人でも難しいし、いつの時代でも、どんな規模でも起きる問題なんだなとしみじみ。

前半はとても面白かったし、ジュディ・デンチはやはり流石だなと思わせてくれたけれど、なんかモヤモヤが残った。

yukarin
yukarinさんのコメント
2019年1月28日

こちらこそありがとうございます。絶賛されてる方が多いので、同じようにモヤモヤされてる方がいて、ホッとしました。

yukarin
yupaさんのコメント
2019年1月28日

まったく同感です。このモヤモヤを言葉にしてくださってありがとうございます✨

yupa