「挫折を約束された「革命」の廃墟」霊的ボリシェヴィキ マユキさんの映画レビュー(感想・評価)
挫折を約束された「革命」の廃墟
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「革命」の夢に挫折した若者たちは、あえて現実を理想化するロマン主義に走り、「性愛」と「オカルト(宗教的なもの)」に分岐した。「性愛」への逃走は、若松孝二監督『理由なき暴行』やベルナルド・ベルトルッチ監督『ドリーマーズ』に描かれている。
『霊的―』は、もう一方の「オカルト」への逃走を示唆的に描く。「革命」はつねに失敗する。なぜか。それは、「革命」は実現すると「こんなはずじゃなかった感」をもたらすからだ。「こんなはずじゃなかった」という期待はずれが、ついに真の「革命」の実現を阻む。
百物語の実験に召喚された霊的前衛の力で、ついに「あの世」と接触できるかと思いきや、実験は失敗し、参加者はみな死ぬ。そして、「汚れた場所」から本物の由紀子=三島由紀夫の化身が生まれ、現実に挫折して自死する未来が運命づけられている。
そう、「霊的ボリシェヴィキ」は挫折の輪廻の中にある。決して実現しない不可能な理想だ。だから「あの世なんてあるわけない」。いるのは幽鬼に憑かれた「化け物」だけだ。
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