「よく覚えてない、が、覚えている必要なんてあるだろうか?」台北暮色 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
よく覚えてない、が、覚えている必要なんてあるだろうか?
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観た。すごくよかった。しかし時間が経ってみると、本当に断片しか思い出せない。街を歩くシーンにストーカーのような怖さがあったこと、ハシゴを持ってくるシーンが妙に微笑ましかったこと、ヒロインに動物的な若さがあふれていたこと、高速道路のラストにわけもなく多幸感を感じたこと。街そのものが主人公、というのは陳腐な表現だし、実際、この映画の主人公は街ではなく人だと思っている。でも、彼らの人生をドラマとして捉えることはなく、知り合いそうで知り合わなかった人たちの生活を垣間見ただけであり、でも、垣間見たことで、ほのかな希望が自分の人生にも宿ったような気にさせられる。あの高速道路の車のどこかに、自分も乗っていたかも知れない。その、一粒に過ぎないという感覚がとても心地いい映画だったと思う。あんまり覚えてないけども。いつかまた観たいと思うし、その記憶もさらさらと流れていくのだろうけども。
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