「ユーモアな死闘」バトル・オブ・ザ・セクシーズ オレさんの映画レビュー(感想・評価)
ユーモアな死闘
男女平等の風潮がまだ乏しかった1973年。
露骨な男性優位の姿勢を見せるテニス業界に憤慨し、立ち上がった女子世界チャンピオンのビリージーンとかつての栄光を取り戻さんと動き出した元男子世界王者ボビーリッグスが男女の差を無くすと銘打ったテニス対決に挑む姿を描いたコメディながらも痛烈な訴えのこもった作品。
ララランドで一躍スターへとのし上がったエマストーンの次作は実在した女性プロテニス選手のビリージーン。
華やかなLAで女優という夢や恋に焦がれる素敵な女性を演じた前作とは打って変わって、地味なメガネ姿や造作のないヘアースタイルなど1973年という時代さながらの姿でテニスを通じて男女平等を訴える女性を演じる。
対するは元男子世界王者のボビーリッグスを演じるスティーブカレル。
自らを男性至上主義のブタと称し、メディアを全面に利用したピエロのような振る舞いをみせる。
性差別発言や女性軽視をメディアを通して繰り返すのにどこか憎めない小悪党のような存在にみえるのはまさにスティーブカレルのコメディアンとしての力量か。
その反面、家庭においての夫として父としての立場に苦悩する切なさもあって典型的なダメ男だがどこか愛らしさも感じさせる絶妙な演技でみせる。
他にも女性のスポーツ選手でありながら、スポンサー契約の為にガンガンタバコを吸う様子に時代を感じたり、ビリージーンの最大のライバルであったマーガレットコートがボビーに大敗を喫する様をTV中継越しに目撃し、女性の尊厳の為に立ち上がるビリージーンの少年マンガ的な熱さもあって、コメディ寄りながらも真剣なテニスの試合であって男女平等への強いメッセージ性のこもった作品だと感じた。
あとは何と言ってもビリージーンとマリリンの一夜のシーンがすごく胸高まって良かった笑。
エマストーンがバイセクシャルっていう設定だけでありがたやありがたや(おまわりさんこっちです)