「『世界は全てを許すわけではない』」バトル・オブ・ザ・セクシーズ いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
『世界は全てを許すわけではない』
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70年代のウーマンリブ運動の一つの闘いを描いた実話ベースの作品である。とはいえ、男対女という単純な構図ではなく、それぞれが人生を賭して自分の権利を勝ち取る情熱と清々しさを、スポーツという舞台で演じきった二人のテニスプレイヤーのストーリーだ。なんといっても特徴的なのはその映像のルックである。ポップでサイケなファッションとインテリアを惜しみなく映像に流し込んでいて、その時代のハイセンスを存分に楽しめる。
顔のアップのシーンが多用しているのは、流石エマ・ストーンならではである。
今作品の白眉は、ビリー・ジーンの人生だけでなく、キチンとその対戦相手であるボビー・リッグスを丁寧に描いたことであろう。男の悲哀を淡々と盛り込むことで、よりこの時代の空気感を表現できていると感嘆する。
もしできるならば、この後のシークエルがもっとドラマティックなので、そっちも盛り込んで欲しかったと思ったのだが・・・。
ビリー・ジーンが対戦前にインタビューで放った『敬意を払って欲しいだけ』という台詞に今作品の全てが凝縮されていて、世界中の人間がその意味を脳髄に叩き込むべきと強く感じさせられた作品であった。
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