劇場公開日 2018年7月6日

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「強い女性?」バトル・オブ・ザ・セクシーズ aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5強い女性?

2018年7月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

1970年代初頭、ウーマンリブの運動が台頭し始めた時代。テニスの女王ビリー・ジーン・キング(エマ・ストーン)は、男子とのツアー賞金があまりに違うことに異議を唱えて、女子だけのツアーを立ち上げる。
勝気で真っ向から男性上位の風潮と闘い、紆余曲折を経てシニアプロのボビー・リッグス(スティーブ・カレル)と試合をすることになる。ボビーは、ビリーを破ってツアー優勝したマーガレット・コートを破って、男尊女卑の発言をテレビで公言する、軽薄なオヤジだ。さて、その戦いの行方はいかに…。

といったストーリーだが、女性蔑視やLGBTなど、人種差別とまた違った差別と、テニスという世界を通して戦うビリージーンの活躍が楽しい。

エマ・ストーンは、「ラ・ラ・ランド」とは全く違う、戦う女性の役をしっかり演じてみせた。不平等を許せず闘うが、決してとても強いわけではなく、精神的なもろさを持ち、悩んだり怯えたりしている普通の人間である。弱さを歯を食いしばってしのぐ微妙な役どころを、上手く表現していたと思う。
対して敵役のボビーを演じたスティーブ・カレル。先日公開の「30年目の同窓会」で、弱ったおとなしいオヤジキャラだったが、全く逆の大言壮語で軽薄な小憎たらしいジジイを、見事にやり切った。こちらも、口では脳天気な事を言いながら、家庭に問題を抱えて、弱ったりさみしいところを垣間見せる、人間味のある役どころ。

ビリー対ボビーの、男性対女性の世紀の対決を軸に見せながら、差別者と被差別者という陰な構図ではなく、彼らを取り巻く状況やエピソードを前向きに、コメディタッチで描いた好感の持てる作品だ?

AMaclean