「ハリウッドの「日本っぽさ」」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ maruさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッドの「日本っぽさ」
オリエンタル(東洋の。東洋らしい。)という意味でくくっている感じがして、ラスボスの部屋の畳がどうしても腑に落ちない。畳敷いた部屋=日本らしさを感じられる、キル・ビルやらマトリックスにも出てくるもはやおなじみの小道具。ただ、あんなに追いつめられた家族を目の前で殺されたラスボスが、心を落ち着かせるために畳の部屋にいる…というのは理解できるが、視覚的にも必要な要素だとはわかるし、鑑賞者が思う日本っぽさに合わせる必要性もわかりますが、ダニエル・クレイグの007は、硬派で骨太なイメージがあり、ポップでカジュアルな印象がないので、ステレオタイプの感じがある大きい畳の部屋は、違和感がありました。
勧善懲悪のスカッとした爽快な感覚はなく、小説を読んだ読後感がある気がする。硬派で骨太なら、鑑賞者に合わせることはせず、オリジナルな007を貫いた方が、ダニエル・クレイグたる意味がある気がする。最後のシーンは、美しい自然に建てられた人工的な施設と人間の対比で、人の小ささと愚かさを、ミサイルが壊していく。(結局、人間が壊していくし、作ってもいける)というメッセージなのかなと思いました。007は、人類を守っていたし、破壊もしていた。…というのは深読みで、単純に(景色を見せたかったのかな?)とも思いました。
前作・スペクター見ていないとわかりにくいです。