「武骨だった007」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
武骨だった007
欠番になった。
ダニエル・グレッグ版はもう作られないのであろう。ショーン・コネリーと同じくらい好きだった。
ブレないオープニングは結構好き。
今回の物語は結構入り組んでいて、字幕を追っかけてると理解できないような気がしてる。
吹替版に出会うならば、また観てみたい。
そして、そんなコアなファンでもないので「スペクター」がとか言われても「???」
新作を観る前に前作を観るところから始めなきゃいけないのだろうか?…おそらく推奨はされるのだろうなぁ。で、それを怠った俺には物語を細部まで…いや深部まで…とにかく楽しめなかった様に思う。
俺の頭の中では、ヘラクレスはMI6が発注元になってて、それを知るのはMのみである。
て事はスペクターとも遠からぬ縁があり、諜報員達の活動はとんだ茶番にも思えてくる。
…それを呑んで尚、Mと共闘し家族を救うべく任務に向かう。
…そんな物語なわけがないと思うのだ。
俺は何かを間違えてる。
それだけじゃなくても、恋人の過去だとか、なんで彼女は捕らえられる必要があったのかとか、ボンドがキャリアーになった経緯はなんとなく分かるにしても、なんでアイツはそんな罰をボンドに課したのだろう?
シリーズ的には精神的にも肉体的にも孤独だったり孤高にはなりもするので、まとまってると言えばまとまってるのだけれども。
なんか、そんなこんなでハードルが高かった。
アクションの始まり方とか、挿入される時間帯とかは、もうため息が出る程見事だった。
カメラワークが素晴らしい!
その臨場感がもたらす迫力たるや…至福なのである。
ボンドも窮地に立たされるし、その窮地から生還する。生命の危機をちゃんと盛り込むアクションこそ、真髄ではなかろうか?
その窮地から立ち上がるからこそ、主人公は強い。
その眼に、その背中に、勇気づけられるのだ。
見応えあったー。
今回、何より目を惹かれたのが、本人がやってるように見える事。
フェイスキャプチャーなのだろうけど、怯む事なくカメラが正面に入る。フルサイズでパーンする。
終盤で、本人が階段から背負い投げして転がり落ちるカットがあるのだけれど、そんな顛末になるとは思わないから度肝を抜かれる。
いやぁ、見事!!
相変わらずのハイクオリティ。
ただ、なんか今回、タッチとしては泥臭い。感情過多というか…ダニエルの意向なのかもしれないけれど、人間味が強かったように思う。
キューバの女スパイのシーンも大好き。
ああいうテイストも無いとダメだよね、やっぱ。
007の死に様としては、とても好き。
ミサイルの爆煙に飲み込まれる様がアニメのようではあったけど、その雄々しき背中が印象的だった。
様々な脅威を前に、怯む事なく立ちはだかった背中があった。ロングになり降り注ぐミサイルが無慈悲で…跡形もなく消えたであろう、その最期が、スパイとしては有終の美を飾ったのではないかと思う。