劇場公開日 2023年11月17日

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「人質映画とは何か」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ ぽったさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人質映画とは何か

2021年10月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ダニエル•クレイグが演じたどの作品の007よりも人間くさい。どこがそうなのかは見ればわかる。007というコードネームさえ失うのだから人間くさくなるのは当然だ。
最後に集まった4人のうち黒人女性が二人いるのは007という旧来のフォーマットの柔軟性を感じる。だがせっかく女性の007が登場したのに活躍する場面が少なかった。他の女性たちも活劇をこなすが、どの女性も見せ場は継続しない。
敵のアジトに乗り込んで、そこを壊滅させるというパターンは変わっていない。前回のスペクターはご都合主義的すぎてシラケたが、今回はマシである。ただ、アジトに乗り込んでからのゲーム的な戦闘は雑である。とはいっても、夕日を浴びた007の最後を見るのは感慨深いものがあった。今後は全く異なるタイプの007が現れることを予感させる。

ジェームズ•ボンドのようなスーパーマンは強すぎるので、その行動に制約を加えるために「人質」が取られる。前作でもマドレーヌは人質になったし、今回は母子で人質になる。人質を取られるのは、たいてい最後の戦いにおいてである。主人公の危機を高めるために人質は利用される。こうした人質をとる作品を、私は「人質映画」とよんでいる。半分以上のアクション映画は人質映画でもある。この作品では、人質の取り方と救い出し方はよく練られておらず、拍子抜けする。

ぽった