「グライダーのデザインが気になった映画」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ snake666さんの映画レビュー(感想・評価)
グライダーのデザインが気になった映画
前作「スペクター」でも薄々感じてはいたが、女遊びよりも一途なラブロマンスを軸に置くダニエルクレイグ時代の007はやはり「女王陛下の007」をかなり意識していたんだなと。今作ではそれがあからさまに(特に音楽で)出ていた。その極め付けはエンディングでルイアームストロングの「愛はすべてを越えて」がかかり決定的となる。
「女王陛下の007」ではボンドの奥さんが死ぬが今作ではダニエルクレイグのボンド役を引退する事にダブらせボンドが死ぬという結末だったりと、そうした「女王陛下の007」オマージュ等オールドファンにはたまらないポイントがいくつもあった。
物語の方は丁寧に描かれ全体を流れるドラマには充分引きこまれだが(ゆえに長尺だが)興味深いことにコロナ前に作られていた作品であるにも関わらず偶然にも今のコロナ禍を意識したような題材を扱っていたあたりは非常にリアルに伝わってくるものがあった。
アクションに関しては個人的にはオープニングシークエンスが一番興奮したが、その他のアクションも見応えはあり、過去の5人のボンド役を演じた人にはできないダニエルクレイグだからこそ生まれたハードなアクションはどれもよかった。
ダニエルクレイグの007を締めくくるのにふさわしい力強い作品になっていたのではないだろうか。
好みは分かれるだろうが過去の5人とはまた違った独自のボンドスタイルを確立し演じきったダニエルクレイグには本当にお疲れ様といいたい。
最後に余談になるが、劇中に登場したボンドと女007が乗っていたグライダーのデザインが「ニューヨーク1997」や「エスケープフロムL.A.」に登場したものを彷彿とさせており、ジョンカーペンター監督作のファンである自分としては気になりまくりポイントだったが、そう思ったのは自分だけだろうか…