「実直でまっとうな伝記映画」ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー はとさんの映画レビュー(感想・評価)
実直でまっとうな伝記映画
実直〜!普通の若者が大人になるまでを、そして作家になるとはなんぞやということと二本柱できちっとまとめている。
原題がRebel in the Ryeなので、直訳したよいタイトルだと思うけど、彼は反逆児というよりは先駆者に観えた。先駆者だ、と思ったのは先日サリンジャーに関する講演を聞いたからとは思うが。
今まで存在が見えていなかった、それはどこにも居場所がないと感じていたサリンジャー自身でもある「若者」を初めてアメリカで描いた作家だから。
彼の作品に対する姿勢は自分の主張を通してるだけで、文壇自体への反逆の意志は感じられない。実際はもっと破天荒な人物だったんだろうか?しかし私には至って普通の人間に見えた。ただし、自分の声を伝えたい気持ちがある、途轍もない「本物の」才能を持った人間。家族を思いやれないなどの問題点はあるが…
書く時はいつだって一人なことを、日本版のポスターがとても的確に伝えてて好き…と思ったんだが、本国では背後にスペイシーがばばーんと載ってるから、出せなかったのだろうと思われる。それでも日本版は美しくていいポスターだが。副題は少し説明過多だけど、決して間違ってはいない。
ニコラス・ホルトの自信がある時の表情や、戦争体験で痛手を負った状態まで、幅広い表情が見れる。そしてサラ・ポールソンも良かった。
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