「途中から怪物が可愛くなっていく怪奇作」怪怪怪怪物! Theo5さんの映画レビュー(感想・評価)
途中から怪物が可愛くなっていく怪奇作
最初から最後まで救われる展開のない胸糞映画。
見た事のない人型の怪物が出て来るんだけど、描かれてる日常が細かい所が妙にリアル。
主人公はイケメンすぎていじめられそうな感じがないのが少しノンリアルだけど、一人だけ教室外に出されてる女の子の存在感とかリアルだし、想像力の欠如した無軌道なボスとその取り巻きの所作なんかは演技力も相まって、凄い「居そう」と思えるキャラクター。
そんな中で捕らえらえて拷問を受けてる見た目はとてもじゃないが美しくない得体の知れない怪物が泣き叫んでいるうちに、感情移入が入ってきてとてもか弱く可愛い存在に思えてくる不思議な感覚に陥ってしまった。
最後の教室のシーンで椅子の上で堂々とどでかいオナラをかます女子生徒っていうのが下品極まりないんだけど、演出としては最高に上手だと思う。
一瞬でその状況におけるモラルハザードが理解出来るし、その全体に対する嫌悪感を抱けるという素晴らしい演出だと思った。
お調子者の男子生徒じゃなくて、女子生徒がやるっていう発想が凄くて、かました後もまあまあ落ち着いてみたいな半分テレ、半分どやみたいな雰囲気を出すのもリアル感が出すぎている。
更にバス内での大量虐殺シーンもポップな曲と共に見せないで魅せる演出がセンスを感じさせられた。怪物の歯をアクセサリーにしてた女の子の最期も助けてと泣き叫ぶのではなくて、ガムで風船を作りながら死んでいく演出もやっぱり上手い。
自分の命の危機さえもこんなに無関心にゲーム感覚で捉えれるんだという、人の魅せ方がやっぱり上手。
一番憎たらしいボスがあっけなく死んでいくのは少しガッカリしてしまったが、逆にじゃあどういう風に苦痛を与えながらジワ殺しさせれば良かったのかと考えると、確かに難しいものはある。
最後のシーンも魅せ方が上手で、あれ主人公は助かるの?いや、でもお椀すすってたよね?え、すするふりだった?逃げれる?復讐成功?あっ、やっぱ飲んでたか……。っていう終わり方がドキドキさせられました。