「原題は「ニックを忘れろ」なんだけどなぁ。ニックに囚われている女が悲しい。」ニューヨーク 最高の訳あり物件 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
原題は「ニックを忘れろ」なんだけどなぁ。ニックに囚われている女が悲しい。
うーん。中途半端かな。
それぞれの登場人物の描かれ方がね。
三人のシングル女性⇒ マリアとジェイドと、そして子連れの娘アントニアと。それぞれの生きざまを、あともうちょっと掘り下げてもらいたかったな。
プロフィール紹介と彼女らの趣味を上っ面だけなぞった感じで終演でした。
元妻と、彼女から夫を奪ったブロンド愛人との二人のバトルも、泥沼の葛藤が伝わってこないし、
だから、彼女たちのやっている「ドイツ語の詩作のゼミ」も、「ファッションショー」も、そして「フレグランスの調香」も、ぜんぜんこちらとしても思い入れをもって見てやれない。
どれもテーマとしてはそれぞれ非常に興味をそそられるだけに、余計に残念。
監督は「ハナ・アーレント」を撮ったドイツ出身女性監督なのだが、75歳でこんな消化不良な作品しか作れなかったのだろうか・・
で、
出演役者の出身地を見ると
マリア⇒ドイツベルリン、
ジェイド⇒ノルウェー、
娘アントニア⇒?
元夫役⇒トルコ。
ユニークな寄せ集めがケミストリーを起こしておらず、映画の出来映えもさもあらんという感じ。
舞台はせっかくのNY のはずなのに。
彼女らの本心を勘ぐれば
家も、老後のお金も、キャリアも、(もしかして)元夫の庇護も?、それら全部が実は欲しいんだ!と元夫にしがみつくマリアとジェイドってなに?
孫の子守を押し付けられて、埠頭で寒風に吹かれているマリアだけが、居場所を失った女の寂しさを見せてくれるいいシーンだったけれど。
歳を取ってきて不安と弱気が沸いてくるのは僕も同じだけれどね。弱くたって構わない。それならそれともう少しそこ、女三人の脆さと軋轢を深掘りして描いてもらいたかった。
↔ 母親たちに見切りをつけて後足で砂をかけてドイツに戻っちゃった娘アントニアのその後々のほうが、面白そうと思うのは僕だけだろうか。
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ただ、ストーリーとは関係ないけれど感心したのは次の一点、
ヨーロッパの俳優たちが母語以外にも当たり前のように他にも数ヵ国語を話せること。あれはやはりうらやましい。
僕の仕事場には世界中の語学実習生がいて、初対面でも互いに共通語である英語で早速おしゃべりをしているのだ。
僕はフランス語を使うカメルーン人や、スワヒリ語のウガンダ人や、ネパール人やベトナム人から「君の英語は間違ってるよー」と教えてもらう始末だ(笑)
スピードラーニングを買おうかしらん。
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英語学校もので楽しいのは
「マダムインニューヨーク」。