負け犬の美学のレビュー・感想・評価
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家族のために…
おっさんボクサー頑張る。邦題からしてわかるけど、マチュー演じる45歳のボクサーはかなり弱い。普通ボクシングモノは才能あるチャンプか挑戦者だけど、おっさんの武器は打たれ強いこと。原題はスパーリング。あくまでもチャンプの練習相手。子供二人を養い、生活費もぎりぎり、バイトしながらのボクサー生活。奥さんもパンチドランカーになる前にそろそろ辞めてほしい。チャンプの練習相手になれば、娘のピアノも買えるしと、プライドを捨て、チャンスを掴み取る。明らかにマチューのボクシングの構えは素人っぽいし、パンチ力も無さそう。けれど、映画で描かれたり、スポットライトを浴びるのはチャンプというほんの一握りの人だけ。エンドロールであった様に実際はマチューの様なボクサーが多いだろう。才能がないことを自覚しながらも、家族、生活のために闘うボクサー、不格好だけど、ラスト応援したくなるし、やりきったこと、信念を貫き通したことが勝者。試合のチャンスをくれたチャンプやトレーナーの笑顔が良い。何よりも娘が一番可愛かった。そりゃお父さん頑張るという、忌野清志郎の歌のような映画。
いわゆるボクシング映画ではなかった
事前情報一切なしでボクシング映画として観賞。
ロッキーに代表されるようなボクシング映画あるあるの「歓喜の瞬間」が一切描かれないにも関わらず、見応えを感じさせられた。
感情のアップダウンが少ない平凡な幸せを描くのはある意味難しいのではないかと思うが、映画グリーンブックに共通するような満足感を得られた作品。
邦題の言い得て妙
主人公は盛りを過ぎた勝ち星の少ない40代のプロボクサーであり、妻子がいる。生計を立てる為に主人公は兼業し、妻も働いている。ボクシングの試合もなかなか組んでもらえない中、彼は欧州チャンピオンのスパーリングパートナーに立候補し、なんとか採用される。そもそもの動機は報酬が高額で、その収入でピアノを習っている娘に、ピアノを買ってやりたいが為だった。そんな主人公は日頃から家族に敬愛されて止まない。しかし彼に対する世間の眼は逆である。娘の或るクラスメイトは主人公をバカにし、公開スパーリングでは観客は主人公に罵声を浴びせる。娘は学校で父親をバカにしたクラスメイトと手をあげた喧嘩をし、観戦した公開スパーリングの後には気落ちし、塞いでしまう。全て父親を愛するが故である。そのような背景で、終始主人公がブレていないのがいい。主人公は自分にボクシングの才能が無いと思いながらも、好きだから続けて来た。そしてその長く続けて来られた秘訣として強打に打たれ強いことを挙げ、自らの武器だと言い切っている。そしてチャンピオンに、世界戦を前に的確な助言を出来る程、試合巧者で戦略家である。だてにキャリアを積んでいないのである。しかしそんな主人公も、自らのキャリアの仕舞い方に気を揉んでいる。出来れば華々しく有終の美を飾り、愛する娘の眼に焼き付けたい。それは世の多くの父親が抱く普遍的な思いである。なぜなら仕事振りと仕事への姿勢は、正に人生における生き方そのものだからである。自らの最後の試合を、これから人生の荒波に漕ぎ出す娘へのはなむけとしたいのであろう。映画のラストは、その思いが成就するハッピーエンドを暗示している。本作のテーマを言い表した邦題が良いと思った。
☆☆☆★★★ ジャンルは違うのだが。その当時は、単なる地味な中堅レ...
☆☆☆★★★
ジャンルは違うのだが。その当時は、単なる地味な中堅レスラーだった男がマイクを手に取って叫んだ!
「藤波!俺はお前のかませ犬じゃないぞ!」
それが、どれ程リスキーな事なのかを当然の如く知りながら。
《負け犬が狼に牙を剥いた瞬間だった》
この映画の原題は【スパーリング】
チャンピオンの練習相手…とゆうのは聞こえは良いが、要はサンドバックの役目に近い。
尤も、ある程度の力量が無ければ務まらない。
大体は、優秀な若手ボクサーが指名されるケースが多く。過去には、逆にチャンピオンのスパーリングパートナーで有りながら。チャンピオンを圧倒するボクサーも居たと聞く。
主人公の戦績は48戦 13勝3引分32敗と、かなりショボイ。
おっと!また負けたから33敗だ。次が50戦目。
家族を養う為なら必死だ!彼を突き動かしているモノ。それは、娘が《持ってる》事を信じる気持ちに他ならない。
生活の為。娘の為に、何とか辿り着いたスパーリングパートナーの仕事。
だが現実は残酷だ!「ポンコツ!」と言われ、一刀両断に職を失いかける。
だが、それでも。負け犬には負け犬の考えが有った。
彼には【経験】とゆう大きな…いや、現実を直視すると細〜いスキルが、ほんの少〜しばかり残っていた。
人生に於いて、勝ち組に居る人等はほんの一握りだ。大半が負け組ゆえに、「俺だっていつか必ず!」と思っている。
だけど、殆どの人にはチャンスは巡っては来ない。その前に諦めてしまうか、《その時》に動く事が出来ない人が、殆どかも知れない。
長州力の叫びは、そんな負け組の人達の心を鷲掴みにし熱狂させた。
本人の努力も大きく。その後の藤波との闘いは、【名勝負数え歌】とも言われる。
悲しいかな、負け犬の彼には。当時の長州の様な若さも、ギラついた野心も持ち合わせはいなかった。
ただ「ボクシングが好きだ!」とゆう思いと、「家族の為に…」の気持ちだけ。
映画は、そんな彼の姿をただ淡々と描いていて。そんな演出に不満を唱える人もいるだろうと思える。
最後の試合等は、幾らでも盛り上げられるのに…と。
おそらく監督が本当に描きたかった…と言えるのは。映画が終わった後に出て来る映像同様に。娘の笑顔に頷く彼の笑顔も、本当の勝者に値する…との思いだったのだろう。
そこには、この主人公同様に。素晴らしいボクシング馬鹿による最高の馬鹿な男の美学が輝いていた。
【敗者がいるからチャンピオンは生まれる】
全くもう〜!泣かせるんじゃねえよ!
この馬鹿野郎(ノ_<)
2018年12月11日 キネマ旬報シアター/スクリーン3
中年ボクサーの拘りと納め方が切ないなぁ。
ストーリーと評価が割りと高いのに牽かれて観賞しました。
感想で言うとまあまあ。
まあまあなんだけど、なんか乗れない感じ。
大きく負け越している40半ばの中年ボクサーが娘にピアノを買ってやりたいが為に、タイトルマッチに挑むボクサーのスパーリングパートナーに志願するお話し。
それも1度はスパーリングパートナーを解雇されてしまい、それでも必死にしがみついて、最後は降って沸いたタイトルマッチの前座試合で最後は試合に挑む。
スパーリングパートナーは良く言えば縁の下の力持ちではあるけど、噛ませ犬的な側面も強いので、観ていていろいろと切ない。
テレビの「戦力外通告の男たち」を観ている様な感じです。
一握りのチャンピオン達以外に様々な理由で夢半ば辞めていく者達が多いのは当たり前なんだけど、やっぱり切ないんですよね。
悪くはないんですが、全編に切なさが漂っていて、幸せな気分にはならない。
ミッキー・ローク主演の「レスラー」を観た時と同じ感じ。
ツッコミ所もモヤッとあって、大きく負け越しているボクサーがファイトマネーだけで家族を養ってるとは思えないぐらいに割りと良い家に住んでいて、車も持ってる。
副業をしている様な感じは無し。
奥さんが美容師をやっていて、生活を支えているにしては、家族は皆理解があって、パパ大好きの幸せな家族。
この辺りが救いでもありますが、なんか現実感が薄いんですよね。
あと、降って沸いた様な前座試合の話もご都合的でなんか乗れない。
良いのは奥さんが若々しくて、活発で綺麗と言うか可愛らしいのと終始男の子にしか見えない娘さんが可愛らしいw
あと、原題は「スパーリング」なのに邦題が「負け犬の美学」と言うのもなんか嫌。
確かに大きく負け越しているし、ボクシングでは大成しなかったけど、幸せな家族がいて、人生には負け犬ではないし、勝負の世界で勝ち負けは紙一重だし、ボクシングに拘った結果、40半ばまでやっていただけなのに負け犬って。
幸せな家族がいるだけで勝ち組な感じがするんですけどねw
人生は切ないものだよと言う事を言いたいと思うんですが、もう少し夢があっても良いのになぁと思んですよね。
ボクシングを題材にした映画は個人的には「ロッキー」が最高と思ってるので、それと比べる事自体間違ってはいると思うんですが、切ない映画は苦手なので、切ないと言う感想だけでこんな感じですw
映画には感動を求めてしまうタチなので、あくまでも個人的な感想として端的な参考程度にしてみて下さい。
原題は、スパーリング
49戦13勝33敗3分
普通なら辞めてるやろ!
しかし、彼はリングに立ち続ける。
なぜか?
家族のためだ!
そんな時元チャンピオンのスパーリングパートナーになる。
僕もおじさんボクサーなんでその内面がわかる!
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