「音楽好きの感想「要素は良いだけに本も演出も惜しすぎて悔しい」」モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト もとさんの映画レビュー(感想・評価)

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3.0音楽好きの感想「要素は良いだけに本も演出も惜しすぎて悔しい」

もとさん
2018年11月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「ONCE ダブリンの街角で」の音楽と物語が大好きで、なんだか雰囲気の似ていそうなこの作品、期待を寄せて観た。劇中にかかる音楽はどれも好きなアーティストだし、散りばめられている音楽小ネタはどれも「あるある」で嬉しく、極めつきはレディへをディスられる=自己否定される感覚になっちゃうあたり、これ自分か?ってくらい分かってほくそ笑むしかなかった。ホント細かなところは期待通りたくさん好きなパーツが散りばめられていたけれど、全体の満足感はあまり高くなく、モヤモヤしてしまった。

以下ネタバレあります。

恋愛ものって、基本、ドキドキの疑似体験をしたい。
でもこの作品、恋におちるシーンがCD屋でblurについてのマニアぶりを披露し合うエピソードだけ。モチロン入り口としてはいいシーンだけど、そのあとクラブの泡パーティで結ばれるシーンで、ドキドキはもうおしまい。互いに少しずつ惹かれ合っていく若さと恋のキラキラが溢れるシーンを、音楽とうまく絡めながら、もっともっと観たかった。

その意味で構成も損してる。恋が始まったシーンの直後、時間が飛んで別れ際の陰鬱なシーンに引き戻されてしまう。シーンが切り替わった瞬間の落差の驚きは新鮮ではあったけど、それだけでしかなく、すぐに見ていてツラいシーンに成り下がってしまった。しかも先が見えてしまったことで、「これからふたりはどうなるんだろう?」という(そうなると分かっちゃいても)どこかワクワクしながら観られるハズの権利を奪われてしまったのは痛かった。結果、映画の大半のシーンが退屈になってしまった。

期待していたライブのシーンも説得力が弱かった。客のノリが変わる重要なシーンなんて、正直オーデエンスがアホに見えてしまった。本当に音楽好きがディレクションしたら、こんな都合よくは描けないハズ!

クライマックスの「Liquorice Allsort Girl」をぶっつけ本番で演奏するシーンに至っては、3ピースバンドにないギターの音が思い切り入っていた。ここすごく重要なシーンだから、このアレンジするなら、ハナから4ピースバンドとして描くべき。さらにコード進行が途中でシレッと変わって「これ事前に音を合わせないと、こんな風にはベース、ついてけないよ!」ってツッコまずにはいられなかったり。曲もアレンジもとっても好きなんだけど、一気に冷めてしまった(でもこの曲いいからフルで聴きたい。Apple Music に上がっているサントラは、劇中と同じく途中で演奏が止まってる)。

主人公がずっと言っている「ストリーミングが音楽産業をダメにしている問題」も正直目新しさに欠け、現実はもっと先を行っているだけに、後追い感が拭えず共感しきれなかった。
音楽好きに向けている映画のわりに、こうした細部のツメの甘さも気になってしまった。

結局、掘り下げが足りていないんだと思う。だから感情移入もしきれず、紋切り型のご都合主義映画の域を出られていない。
タイトルはじめ、もっと化けそうな要素がタップリだっただけに、とても残念だった。

最後にYouTubeで「泣き虫ギタリスト」がバズって、それで彼女に気持ちが届いてハッピーエンドだったのだけは、ホント救いでした。これは素直に良かった。

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もと
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