「予告編はよかったが」マイ・プレシャス・リスト 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
予告編はよかったが
何度か見た予告編では、IQ185の天才少女が飛び級でハーバードを出るには出たが、人間関係が苦手でなんともうまくいかなかった。しかしセラピストから課せられたリストをこなしていくと・・・という感じで、子供の頃から勉強漬けだった女の子が、もともとの頭のよさに加えて勉強で得た知識を元に、短期間でセラピストのリストの本当の意味に辿り着くという物語だと思っていた。最近は日本でも様々な方面で十代の活躍が目立っていることもあり、アメリカの天才少女がその類稀なる洞察力でどれほどの人生の真実を見せてくれるのか、大いに期待していた。
しかし、さすがアメリカ映画というか、ハリウッドらしいというか、哲学的な掘り下げは一切なく、結局は家族がいちばん大事というお馴染みの価値観に落ち着いてしまう。おまけに男相手に二股を非難するなど、一般女性の類型的な行動までしてしまう。天才少女に期待したのは分析力と推理力であって、尼僧のような硬直した倫理観ではないのだ。これでは主人公を天才少女にした意味がない。
勝手に期待を膨らませた当方にすべての原因があることはわかっているが、なんともはやがっかりさせられる映画だった。もはやハリウッドには大衆に阿る映画しか作れないのだろうか。
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