モリのいる場所のレビュー・感想・評価
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熊谷守一という実在した画家のお話。 自宅から外へほとんど出ることも...
熊谷守一という実在した画家のお話。
自宅から外へほとんど出ることもなく、独特な世界観を持った画家だったという。
そんなモリとその妻の1日を追った内容。
ゆったりとした時間が流れて、心地いい映画。
こういう映画に三上博史、新鮮だった。
ゆっくりとした日常に、時たま入るコメディがまたおもしろかった。
独特の世界
笑えるファンタジーもの
ゆっくり流れるモリの世界
生きもの達の生態も見られて
おもしろい。
樹木希林と山崎努との会話も
自然な感じでホッコリする
笑えるネタもあって
静かなところと
賑やかなところ があって
宇宙まで……
どうゆう映画 ?
なんだろうと思った
監督の遊び心が詰まってる作品
身体と頭のバランスがいいのだ。
熊谷守一の猫の絵が好きだ。
こんな絵を描ける人間はどんな人なんだろう?と、思ってた。
実に見事な生き方だ。なぜなのか?
それは、インプットとアウトプットのバランスが良いからだ。
脳にインプットされる事象は自然から得て、身体を使ってアウトプットしている。
其の為に、懸命に見つめ続ける。蟻が全て左足から歩き始めることを発見するところなどがその典型だ。そして、長野からやってきた宿屋の亭主に看板を描くシーン。全身で呼吸で調子を取りながら書くシーンがいい例だろう。
頭ばかり大きくなってしまった僕たちは、都市での暮らしのお陰で失ったものを実感することがなくなってしまった。本来の人間らしさを取り戻すために熊谷守一を見つめ続けることが、今最も必要なことなのだ。
小宇宙
30年も家の敷地から出ないモリ
その生活は仙人のようだと言われるが
本人にとってはどこまでも興味の尽きない大きな世界で
生命を感じることのできる小宇宙だったのだろう。
広い世界を見る事がもてはやされる世の中で
狭い世界をどこまでも深く深く覗くモリの視線が
凄い。
老人2人の独特の間や
どこまでも自然な食事シーンがとても好きだった。
タライと宇宙人さえなければ星5
沖田修一に外れ無し。
自身を細胞単位まで分解し生き物と同化するかの変人にして巨人。
喧騒の昭和元禄に一人手付かずの庭から対峙する滑稽と切実。
老境だが死までは撮らない品格、沖田修一に外れ無し。三上博史の役は何処か蛇足。
開巻の林与一には驚いた。
支持。
極めれば宇宙
30年も自宅の敷地からほとんど出ていない、仙人みたいな画家のお話。
なんだけど、テーマは創作活動じゃなくて、自分の居場所。
自分も庭いじりが好きなもんで、こんなジジイになりたいなあと思ったり
ひたむきに何かを追求する男の凄みを感じたり。
いろいろと目移りしがちな現代だけど、不変なことは人と人であり
死ぬまでは生きていくんだから、そこに意味を生み出すのは自分でしかないっていう。
どちらも好きな作品の『南極料理人』『横道世之介』と同じ監督ということで、
この監督の作品は今後も見ていこうと思わせてくれる良作だった。
ただ正直、金タライと宇宙人(?)はちょっと好みじゃなかったかな。
監督の意図が汲み取れないが…
題材、演技、カメラワーク、登場人物の設定まで非常に好みだった。世之介を作った監督なだけあるなと関心した。
しかし途中のたらいのくだりや宇宙人のくだりが意図するものは自分には分からなかった。
多大な才能を持つ人間の目には我々が見ている物とは違う物が見えているという事を伝えたいのか、それとも単にコメディ要素として組み込んでいるのかなど様々な事を考えてみたがやはりよく分からなかった。
自分の理解力の無さを恨む。
こんな時間を過ごしたい
熊谷守一の絵が好きです。
以前、守一自宅近くに住んでいました。
その時はすでに美術館になっていましたが。
都会ですが住宅地で落ち着いた場所です。
その時にふらっと入った美術館が
守一との出会いでした。
デフォルメされた線と
発色のきれいな色使い。
可愛らしい動植物。
特にネコの絵がいい。
あの有名な「アリは左の2番目の脚から歩き出す」
という言葉もそこで初めて知って、
なんともジーンとしました。
庭という小さな私的空間に
こんなに豊かな世界が広がっているんだなーと
感動しました。
映画では山崎さんと希林さんの存在感と
虫や植物を丁寧に撮った映像で
守一の世界を味わうことができました。
忙しない日々ですが、
この映画を見てほっとひと息、
ゆっくりした気持ちになるのも
いいなと思います◎
【沖田修一監督のセンスと樹木希林さんの女優センスが絶妙にマッチした可笑しみ、気品ある作品】
熊谷守一の過ごした晩年の日々を沖田監督が丁寧に描いている。
撮影現場で様々なアイディアも提案したという樹木希林の存在感は圧倒的である。
又、熊谷を演じる山崎努さんは、遺された写真の熊谷守一そのもので、妻秀子(樹木希林さん)とのちょっとズレた遣り取りも面白かったし、熊谷さんの家の庭はまるで別世界のように描かれていて、とても魅力的だった。
劇中、登場する人物たちの中で一際異人感を発していた三上博史演じる謎の男は、沖田ワールドを象徴する存在として私は堪能した。(只、周囲の年配の方々には不評だった記憶がある)
<ちょっと疲れた時に、熊谷守一の「へたも絵のうち」を愛読する者としては熊谷ワールドと沖田ワールドを堪能させていただいた作品である>
<2018年5月19日 劇場にて鑑賞>
庭
うちにも小さな庭がある。
学校の目の前なので日中は騒音だらけ。正直イライラする。
でも夜は、虫の声が聞こえて、「あ~至福」なんである。
呼吸も深くなる。
自然の音は素晴らしい。
モリのいる場所を観てて、ターサ・チューダの森を思い出した。
隣の家が見えないほどの溢れる木々や草花に囲まれて、虫や生き物の声を聞いて、生活してみたい。
それは幸せだろう。
豊かだろう。
上から見たモリのいる場所である森と家と人の生活する風景は豊かで安らいでいた。
山崎努さんと樹木希林さんの二人が濃い(笑)
画家・熊谷守一の日常を描いた作品
彼は自分のおうちから出ないという生活を40数年の間続けた
生活の場は広大なお庭と新築の家だけ
その森のようなお庭での発見を大切に
清く貧しく仙人のように過ごした熊谷画家を
山崎さんが忠実に演じていた
山崎さん大好きだから気合い入れて見に行きました
なんか幸せな温かみをもらえたと思います
妻は樹木希林さん
これがまた圧がすごいから、存在感のオバケやね
支えてる感じが純粋な感じだけではなく
やっぱり腹に一物あるただもんではない奥さん役にぴったり
ちょっとぶっとんだエピソードもあるので
三上博史の役には驚かされる
日常と非日常が織り交ざって
不思議な空間に自分も一緒に入り込んだような錯覚になる
虫から鳥から生きとし生けるものの愛おしさをおもう
個人的には大好きな作品
仙人の話
映像も、脚本も、とてもまとまっている作品で、台詞も演技も無駄を省き、作品の趣旨に沿ったものであり、コンパクトにまとまっている作品。その分インパクトは強くはない。独自性があるのでもなく、黒澤作品などのオマージュであろうか?そんな場面も出てきて楽しめた。他俳優陣も抑えた演技でそつがないが、これと言って目を見張る演技でもなく、この作品のリアリティーを追及することはとても難しい作品なのだと思った。加もなく付加もなく、「そつのない」実に行儀の良い作品に仕上がっていた。
正直、熊谷守一さんの人生は、もっと波乱の人生であったはず。そうした人物の歴史を掘り下げ、よりダイナミックな作品に仕上げて欲しかった。これでは、只の仙人の話になってしまっている。
この空気感がたまらない
実在の画家熊谷守一(山崎努)と妻(樹木希林)のある一日を描いているのだが、一日とは思えず、観た後で納得。
庭のある古民家に住む夫妻のもとにはいろんな人たちがやってくる。
お手伝いさんやカメラマンは知り合いだが、中には見ず知らずの人も多い。
夫妻の生き方は言うべきここは言うが、どうでもいいことはみんなで楽しみ、夫婦の絆を信じているのが爽やか。
観衆はきっといい人。
映画を観る際、映画館という環境も含めて考えていました。
もしも 1人で観るならば、この映画はつまらないかもしれません。
しかし、映画を観る環境条件が自分の直感とリンクすれば、これはユジクで見れて良かったと思う作品です。
1人で映画を観れば、映画の情報を自分1人だけで処理してしまいますが、映画館という場であれば情報の共有が可能です。
私がこの作品を観た時、オーディエンスは殆ど高齢者でした。高齢者をバカにする訳ではありませんが、この人達は最近の映画のセンスについて来られるのか心配になりました。
しかし、この作品はむしろ彼らのセンスに合う作品のようでした。作中の散りばめられた 小さな笑いは会場の雰囲気も作り出しました。
そうか!そういう映画の見方もあるのか!
私は映画を単純な娯楽だと考えていた故に、映画論や技術論にあるような 方程式でもって映画を観ようとしていたきらいがありました。
映画を観る環境を作る映画 という考えはありませんでした。映画はひとつのモノとして、完全に独立する必要があると。
しかし、ユジクの会場で観た和やかな雰囲気はこの作品とマッチングしており、観衆のささやかな笑い声は 映画を観る私のスタンスそのものに彩りを与えました。
つまり、映画 は一概に映画そのものの中で行われる効果だけで完結されるものではなく、周辺環境の在り方が 演出 としてプラスされるのです。
映画の鑑賞の仕方にアクセントもつき、なかなか良い体験をさせていただきました。
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