「片田舎の小さな町で暮らす90歳の独居老人ラッキーは極端な現実主義者...」ラッキー(2017) よねさんの映画レビュー(感想・評価)
片田舎の小さな町で暮らす90歳の独居老人ラッキーは極端な現実主義者...
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片田舎の小さな町で暮らす90歳の独居老人ラッキーは極端な現実主義者でありながらお茶目な海軍の退役軍人。寝起きで煙草に火をつけ、体操後にカフェオレを飲み、近所のダイナーでクロスワードパズルに興じ、帰宅してバラエティ番組を観ながら一服、夜は近所のバーでブラッディ・マリーを傾けるという単調な1日を毎日繰り返しているが、ある朝自宅で昏倒したことをきっかけに自分の生き様を見つめ直す。
大したことは何にも起こらずラッキーと近所の人々とのふれあいを淡々と見つめるだけの90分弱ですが、これが凄まじくチャーミング。長年飼っていた亀に逃げられて途方にくれるデイヴィッド・リンチ演じるハロルドを筆頭に善人しかいない町で人々が語る何気ない言葉のどれもが暖かく人間味に溢れていて胸がジンとします。とんでもなく長いキャリアとデタラメにも程があるフィルモグラフィだけでもその温厚な人柄が偲ばれる名バイプレイヤー、ハリー・ディーン・スタントンの佇まい、表情、セリフ、何もかもがかっこいい堂々たる最後の主演作、さめざめと泣きました。合掌。
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