「唸る」スリー・ビルボード sannemusaさんの映画レビュー(感想・評価)
唸る
発端はひどい事件である。到底許せない憎しみ・怒りを人はどのように昇華すべきなのだろうか。
ストーリーが進むにつれ、主人公の傲慢さが気になり、当初同情していた主人公の肩を持つことができなくなってくる。笑
田舎ならではの閉そく感。差別の連鎖、暴力・・・
登場人物それぞれが抱える問題は大きい。
到底理解しあえないだろうと諦め、ぶつかり合っていた価値観や立場が、署長の存在や事件を通して少し変わりはじめる、それは奇跡のような美しい瞬間だった。
ここまでの悲惨な事件、ここまで激しいオバハンはなかなかいないにしても、
怒りを何かにぶつけることでは怒りや悲しみは昇華できないということはひしひしと生々しく伝わってくる。
真剣な対話がそこになくとも、一緒に過ごすこと、何かをすることで和らぐ感情もある。
ただ、最初の一歩を歩み寄ることの難しさも同時に感じた。
俳優陣の演技が本当に素晴らしく、彼らの痛みや優しさ、人間の業を十二分に感じさせられた。良作。
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