「みんな不器用なものだから」スリー・ビルボード BARCA!さんの映画レビュー(感想・評価)
みんな不器用なものだから
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観てる方は、広告が犯人探しにどう影響するのか、みたいな展開を予想していただけに、見事に裏切られた脚本だった。
娘を殺されて、被害者であるミルドレッドが3枚の広告をデカデカと置くのだが、怒りのあまり過激な行動に出ることで快く思わない人も少なくない。そんな状況が彼女を正当性みたいなものを揺らがす。また、彼女の敵である署長にも、警察であると同時に強烈なほど差別主義で暴力に訴えるディクソンにも時折見せる人間的な弱さがある。町にいる誰がどう思ってるのかさえわからない中で、だんだんと明らかになる彼らの人間らしさが作品の質を際立たせていた。
ストーリーが良かった上に、俳優陣が手放しでの賞賛に値したと思う。フランシス・マクドーマンドはもちろんウディ・ハレルソンとサム・ロックウェルの演技が素晴らしかった。
現代のアメリカの負の部分を見せながら、作品として完成していた完璧に近い一本。
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