シェイプ・オブ・ウォーターのレビュー・感想・評価
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いかにもデルトロ風味、異形の者に対する惜しみない愛が眩しい大人の恋物語
1962年、冷戦下のアメリカ。幼い頃のトラウマで声が出せなくなったイライザは政府の研究施設に勤務する夜間清掃員。友人は隣の部屋に住むゲイの老画家ジャイルズと清掃員仲間のゼルダだけ。ある日研究所に南米で捕獲された半魚人とともに新しい研究員と米軍関係者がやってきて日夜極秘の研究を続けていたが、イライザはその半魚人に魅せられてしまい、清掃の合間に心を通わせるようになったのも束の間、激しい拷問を受けて満身創痍となった姿を見てイライザは彼を助けようと決意する。
貧しいイタリア系アメリカ人のイライザ、ゲイのジャイルズ、黒人のゼルダといった冷戦当時の虐げられしマイノリティが命を賭して半魚人を守ろうとするクラシックな物語を、随所で現代風刺を匂わせることであくまで現代の世相に訴えかけるファンタジーとして描写。異形の者に対して惜しみない愛を注ぐ監督ギレルモ・デル・トロの作家性が全編に滲んでいて、半魚人が醜怪なクリーチャーではなく人間よりも優れた美しい生物として描かれて、イライザと彼が紡ぐ絆がキラキラとスクリーンに輝くどこまでも赤裸々で眩しい大人の恋物語になっています。
ラストのシーンで少し目頭が熱くなりました
どちらかというとそんなに好きなジャンルではありませんが
ラストのシーンの所で少し目頭が熱くなりました。
ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞、ゴールデングローブ最優秀作品賞
アカデミー賞最多ノミネートは伊達じゃないと思います。
まず出ている俳優(主役、悪役、善人、脇役)の演技が素晴らしい
シーン一つ一つの繋がりの展開にリズム感があってテンポが良い
緊張感のあるシーンと平凡なシーンが交互に繰り替えされるので
途中から引き込まれてしまう、途中吹き出してしまうシーンがあり
監督の遊び心を感じる。
マイナス点はストーリーの中で繊細さに欠けている部分があり
少し気になりました。
後、作者がこの映画をR15+指定以上の映画にして作る必要が
あったのかという事です。ただし、途中でこの映画の全体の構成上
しかたないのかなと納得しました。
なので、子供よりカップルにお勧めですかね。
美しい愛
東京国際映画祭にて。
見終わった瞬間、震えが止まらなかった。帰りの電車の中でも震えがまだ続いていた。なんて美しい映画なんだろうか。
「理解し合うのに言葉はいらない」という最も基本的で重要なことをここまで大胆に、しかもディープに描き出されていた。予告でもある通り、半魚人は主人公が言葉を持たないことを全く気づかないのだ。コミュニケーションの一つのツールとして用いられるべき言葉が、いつのまにか言葉を用いて人を蔑んではいないか。
言葉だけでない。黒人というだけで、同性愛者というだけで人を侮辱してはいないか。そんな社会を皮肉る映画でもあった。
それに対し悪役として描かれる警備員を演じたマイケルシャノン。彼は半魚人を拷問しながら家庭を持ち幸せに暮らしている。そのことが戦時中の兵士を彷彿とさせる。また、彼もまた国家や情勢によって苦しめられている人の一人だということも強調きている。
差別は社会そのものによって引き起こされ、一人の力じゃどうしようもない。その無力感を伝えるとともにSF的に強大な力、人智を超えた絆を表現した。
オリジナル版のため、性的な描写も残虐な描写も容赦ない。しかし、だからこそ伝えるものがある。半魚人の真実を。
日本公開時にはR15となり、カットされてしまうのが心配。主人公の自慰シーンがかなり重要な役割を果たしているのに。
そして、この意味深なタイトル。ラストでは鳥肌必至。
レトロな音楽と雰囲気、時折主人公が見せる幸せそうな表情。そして半魚人。見ているだけで幸せが伝わってくる。主題が壮大であるのに難しすぎず素直に見ることができる、素直に見ている自分を見ることができるのだ。デルトロ監督が「愛と映画のための映画」とおっしゃるように、その通りの映画だった。
温かくて、大きな愛に包まれる
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