「頑張った(としか言えない)」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け KAPPPPPPIさんの映画レビュー(感想・評価)
頑張った(としか言えない)
すでに散々言われていることですが、結局今回の三部作で何を語りたかったのかが、わからないまま終わってしまったのが、最大の問題点だと思います。
エピソード1ー6までは、まず語るべき物語があって、制作されたわけですが、今回の三部作は、制作ありきで作ったとしか思えず、せっかく色々と魅力的な要素がありつつも、それを活かすことがちっともできていなかったように思われます。
途中、エピソード7で登場した新キャラクターは皆非常に魅力的でしたし(全体のプロットがエピソード4の単なる劣化版だったとしても、です)エピソード8で、善悪の狭間で揺れ動くレイやカイロ・レン、そしてルークの苦悩を描いて、映画としては不器用な仕上がりがらも、新たな展開を期待させる仕上がりに、このシリーズをもう少し見守っていこうという気にもなりました。。従来のジェダイとシスの関係を覆すような方向で、それら全ての問いを止揚するような、この壮大な物語全体を新たなレベルに引き揚げるような展開を、望んでいたのかもしれません。そのために必要な材料は、エピソード7ー8で、十分に揃っていたと思います。
しかし、結局パルパティーンを安易に(としか思えない形で)復活させ、しかも、陳腐極まりない形で再び葬り去った(本当に、もう少しなんとかならなかったのか?)ことで、ジェダイvsシス、正義vs悪の、古き良き(悪しき?)構図に、再び行儀良く収まってしまった。その構図はエピソード4ー6で完全に語り尽くされていたのに、その劣化コピーで終わってしまったことに、怒りすら覚えます。挙句に制作陣から、ファンサービスを肯定するような、開き直った発言が、映画公開後に聞こえてくるに及んでは、哀しくなりました。
俳優陣は全力を尽くしていると思います。監督も然り。その意味では決して嫌いになれません。むしろ「良くやった」と、言ってあげたいです。でも、逆にそんな形でしか、この作品を褒めることができないのが、悔しくてなりません。
監督のせい?ファンや市場にすり寄ったディズニーのせい?違うでしょう。エピソード1ー3を批判し、エピソード7の懐古趣味に喝采を送った、我々ファン自らが、この結末を招いたというのが、否定し得ない事実ではないでしょうか?