まともな男
劇場公開日:2017年11月18日
解説
ある男がついた小さな嘘が予想外の事態を引き起こしていく過程を描き、2016年スイス映画賞で最優秀脚本賞を受賞した人間ドラマ。中年会社員のトーマスは、倦怠期の妻や反抗期の娘を連れてスキー旅行へ出かけることに。成り行きで上司の娘ザラも同行するが、初日の夜、ザラの行方がわからなくなってしまう。やがてトーマスは街角で悲嘆に暮れるザラを発見。レイプされたという彼女を警察に連れて行こうとするが、本人は行きたくないと言う。本人の気持ちを尊重しようと決めたトーマスは、事態を収集するべく小さな嘘を重ねていくが……。主演は「ヒトラーの贋札」のデービト・シュトリーゾフ。2008年の長編デビュー作「Der Freund」がスイス映画賞の最優秀長編映画賞を受賞したミヒャ・レビンスキーが監督・脚本。
2015年製作/92分/G/スイス
原題:Nichts passiert
配給:カルチュアルライフ
スタッフ・キャスト
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2017年11月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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スイスから届いたこの映画は、序盤のカウンセリングのシーンから、何やら不穏な空気を漂わせる。穏やかに言葉を発するこの男が、やがてとんでもない行動を起こすのではないか。そんな予兆を示しておいて、答え合わせをするかのように物語が進んでいく。いや、進むというほど順調ではなく、転がっていく。あるいは堕ちていく、といった方が正確だろう。本作は、人の良い男が「わらしべ長者」的にラッキー続きになるわけでもなく、もしくは悪人が芋づる式に悪事に手を染めていくわけでもない。ごく普通に、毎日の暮らしに対処しようとしている男が、やることなすこと全てにおいて悪い方に転じていくからこそ、面白く、考えさせられ、観客はそこに自分自身の姿さえも投影してにわかにゾッとさせられるのかもしれない。主人公を演じる俳優のなんとリアルなことか。スイス版、マイケル・シャノン。その姿は、悲しさを通り越し、ちょっとだけ可愛らしく思えるほど。
2022年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
悪いことが重なるにしても、ここまで続くとはなかなかしんどいね。ただ父親はそんな状況でも、騙し騙し、ギリギリ乗り越えていく。最後も含めてこれはこれで父親としてたくましく、家族を守り切ったんだと思う。
2021年7月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
うーん、テンポもまったりであり、大きなアップダウンもなくダラダラとすすんでいくのがなんとも、、。
北欧の作品で一括するのは安易ではあるが、あちらの作品独特というか、空気感が冒頭のシーンからにじみ出ている。
出てくる人間のどれもがなんとも陰気臭いというか、肯定的に見れないキャラで「そりゃレイプされれるだろうよw」との印象でみているが、15歳の少女に判断を委ねるのも無理な話か、、。
しかしながらそこからのありきたりな嘘の重ね塗りがなんとも、、、。また上司も娘と面会禁止なんかいっwと嘘が渋滞気味w
まあ旦那の優柔不断というか、嫁の尻にしかれっぱなし、上司のご機嫌取り等も理解できなくはないが、もう少し面白い展開はなかったものか、、、。
娘とのやりとりで「お母さんに聞きなさい」というのは自分も使うので笑った。
責任は嫁に押し付けて、自分の決断を娘に伝える卑怯な方法w
ラストの病室からのシーンとサービスエリアのシーンはどうなんだろなー。と感じてしまう。
2019年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
まともではない男。。だろ。
まとも(のつもり)だから、引き起こしてしまう出来事、なのかもしれないが。嘘、隠滅を駆使しギリギリで乗り切ってしまうという変なスリルが味わえる映画。
とはいえ、信用ならんのは男だけではない。ザラも単なる被害者ではない裏のある役という印象。最後病室からのぞく表情も、記憶ありを想起させるカット。娘も基本意地が悪いし、新しいボードのために猫をかぶったりする。若者はまあ悪いが普通、おやじの豹変はちょい暴走気味。
善行を理解しながら、保身がその実行を妨げる。それを極端に表現しているわけだが、誰しも身に覚えのあるところかな、と思う。仕事のミスを隠したり、みたいな。備品ケースの爪がボキッ折れたが(パカパカ状態)、誰も見てなかったし奥入れてほっとこう、て最近あったなあ。。(白目)