点(2017)のレビュー・感想・評価
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男目線な恋愛劇。 学芸会の三番目の劇を見ている様に感じた。申し訳な...
男目線な恋愛劇。
学芸会の三番目の劇を見ている様に感じた。申し訳ないが、プロの仕事には見えない。
俳優がいいかんじ
たかしは電話を取らなくて違和感があった。ずっと剃刀を研いでいて、髭も伸びてるのはもしかして…。
所々ともえをエロく映していて、雰囲気映画かと最初は思った。雰囲気がいい映像は好き。でもエロだけのは好きじゃない。
ともえを見るたかしの視線は男性としてリアルなのかもしれない。たかしはキャラクターではなく現実の普通の人らしい。
2人の会話は久しぶりに会ったことや昔付き合っていたこともあり探り探りで陳腐なような、でもリアルなような感じがした。リアルなようで次何言うか分かりやすいセリフにもみえた。
常連の人は店のためによく来てくれるんだろう。応援してくれる人がいる店。
常連の人の話はジョークとして披露していて、たかしもともえも店が潰れないために来てくれてるとか言及してないので脚本家がそこまで考えてない、ただの会話にも見える。
電話の予約を受け、最後は髭を剃ろうとしてた。
ともえと会って、気持ちに変化があったよう。
ともえは髪を切ってもらう。気持ちを切り替えたのか。分かりやすい表現だけど。いい表情。
お互いに会っていい変化があった。昔の大切だった人と短い時間でも会うと、今の自分になる前を思い出せるのかもしれない。
俳優2人がいい。山田孝之さんが真顔というか力のない目の表情をしてて、中村ゆりさんも明るく話しかけるけど微妙な感じがこの2人に何かあると思わせる雰囲気を出してる。
会話が影響を与えたようで、でもたかしはエロからの方が強かったようにみえる。視聴者もその映像の印象が残る。美談か単純とみるか。
表情で語る…
ショートムービーを初めて見たが、二人の表情、数少ない台詞だけでも、妄想を掻き立て、過去や現在の置かれている状況が理解でき、引き込まれた。エンディング曲はイメージなかったが、自転車を強く漕ぎ出し、笑顔に変わったところで納得。二人の距離感が何とも言えない映画だった。
ポーランド留学で映画を学んだ石川監督のユニークな感性に乞うご期待
興味を持ったのは上映時間の短さ、いわゆるショートフィルムというところ、20分余りで恋愛ドラマをどう構築するのか、ポーランド留学で映画を学んだ石川監督のユニークな感性が光ります。
普通に考えれば選択と集中で凝縮させる手法だろう、アイコン化することで説明を省ける手法は理系出身の石川監督の才覚ですが恋愛ものには情緒を削ぐ恐れが拭えない、本作は香りをかがせて森や海を想像させるような観客の感性が自由に物語を膨らませるニューヨーカー短編集のような王道のエピソード型でもあります。
感心するのは石川監督のシチュエーションづくりの巧みさですかね、女性のうなじを剃るなんて下手な濡れ場よりセクシーに感じますし、タイトルの「点」がうなじのほくろ、彼女のほくろを知っているだけで二人の関係性が伝わります、これだけで約一時間分くらいに相当するでしょう。
詰め込んだせわしさは微塵も無くむしろ早く仕事をしなさいよというくらいのんびりテンポ、山田孝之さんはCMでも様々な職業人を器用にこなす芸達者ですから、本作でもなりきるかと思いきや床屋なのに無精ひげ、元カノの登場で容姿を気にする青春時代が蘇ったのか、剃刀を手にするラストシーンもエンジンがかかったようで二人のその後が膨らみます。
心理的な良品
dTVにて。このところ事情で休日にビデオを観る時間が無くなり気味だったのだが、偶然、26分のショートフィルムだという。まだ出来上がったばかりの作品だったのか。何を観ようかと選んでいたところ、『好きっていいなよ』とかいう映画の予告をみても、高校生でキスシーンがあるだけで駄目な映画だと私は論じるので、そうした乱倫乱交の映画は閲覧時間がもったいないので辞めたのだが、この映画のほうは、高校時代にどうだったのかはわからないが交際していた男女が14年ぶりに女性のほうが理髪店の男性のほうを訪問して久しぶりに会話するのだが、交際するといっても、とても淡いものだったらしい。高校時代にキスシーンをみせて、おそらく性行為もしたのだろうと推測させるような乱倫な映画よりも、このように淡い過去の男女が年月を経て再会するシチュエーションだけで高質な期待がある。だが途中なのでどういう内容なのかはわからない。ショックを受ける可能性もある。途中でカメラがやたら揺らぐような感じを受けたがわざとなのだろうか。それとも私にちょっと貧血が起きたのか。錯覚か。うなじから背中にかけて女性の毛剃りをするシーンは、私はエロティシズムをそんなに感じなかったが、ピアノの音を流していた。これは淡い恋心と淡い接触の描写だったのだろうか。そして男女は何事もないように別れる。女性はサドルから腰を浮かして強く自転車を漕いで終わるのだが、すぐに女性のロックシンガーの声が流れる。これとのタイアップらしい。時間も多くの映画の4分の1ほどの作品だが、このほうが高校生でキスシーンをする映画なんかよりも見ごたえがあるのだ。ただ、映画のほうに余韻が残ってしまいタイアップ曲がロック調だなと思ううちに終えてしまった。
山椒は小粒でもピリリと辛い
yongieなる女子2人組のロックバンドと主演の山田孝之の個人的な関係から始まり、主題歌になった「ワンルーム」を元に本作を制作したのだとか。
以上は後付けの情報なので、正直歌自体は全く印象にない。
主演の山田を別にすると、筆者の注目すべきは監督と脚本を兼ねた石川慶である。
妻夫木聡を主演に迎えたいわゆる「いやミス」である彼の前作『愚行録』が相当に面白かったからだ。
その際原作小説も読んだが、妻夫木が演じた主役?を登場させずに彼の周囲の各証言者の語りだけで構成された原作をよくぞ映画化したものだと感心した。
同作では、撮影監督は石川がポーランドで共に映画を学んでいた同窓生のポーランド人であり、こちらも良い意味で日本人の感覚ではない画面構成が作品にとてもハマっていた。
本作の撮影は鈴木慎二という日本人カメラマンだが、「藤太軒理髪所」という名のレトロな理髪店が登場するなど全体的に古い日本の情景が映し出されるので作品の内容上今回は日本人で良かったと思う。
大言壮語していたのに結局は父の死をきっかけに家業を継いだ山田演じる高志と絶賛不倫中の中村ゆり扮するともえ、高校時代に元恋人だった2人が理髪店の主人と客となって邂逅を果たした一瞬を捉えた短編作品である。
甘い物が苦手なのに何度もバウムクーヘンを食べさせられて山田自身は大変だったようだが、輪に沿って食べる癖が昔から変わらないことで2人の関係性を示すという監督石川のさりげない妙技が見える。
「タカシくん」なのか「タカちゃん」なのか細かい所から過去を想い出す2人、昔切ったともえの前髪を急遽今回も切ることにする高志の気持ちの変化など、お互い終始男女として意識し合ってはいるが、これ以上は進展させられないこともわかっている。
ではともえはなぜ理髪店に訪れたのか?
決して若くもないのに妻子ある男性と不倫中の自分自身に疲れてふらっと立ち寄ったのか?
表札であっさりと高志が妻子持ちなことはわかってしまう。
もし運良く?運悪く?高志が現れなかったならそのまま帰っただろうとも思えるし、もし表札から高志が独身だとわかれば彼女はどうしたのだろうか?
高志も結婚生活がうまく行っているかは疑わしい。
もしかしたら妻子と別居中の可能性もある。
組み変えたともえの足を鏡越しにしげしげと眺める高志は長く女日照りが続いているとも取れなくもないし、妻子の話に詰まるところもあやしい。
不格好な前髪なのに笑顔を見せるともえと、床上に切り落とされたともえの髪を掃き集める高志、まさかやけぼっくいに火が点くことがあるのか?
余韻を残したまま物語は終わる。
ともえ役の中村は筆者の世代だと「YURIMARI」のYURIだったことに少なからず驚くが、井筒監督作品の『パッチギ! LOVE&PEACE』に出演してまさに自分の出自さながら在日朝鮮人の女優を演じたことで筆者も彼女を知るようになった。
ただ前作の沢尻エリカの役を引き継いだので、どうしても沢尻と比べられてしまい、強い印象を残せなかった。
綺麗ではあるが少し影があるようにも見えて、全体的に不運な感じのする女優でもある。
なお山田と中村はTVドラマの『勇者ヨシヒコ』シリーズでも共演している。
本当にあっという間に本作の上映は終わってしまうが、短編として味わい深い作品である。
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