ガン・ファイターのレビュー・感想・評価
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ダルトン・トランボ脚色でも無理があったかも?
ガンファイター2人の不思議な関係だ。
片方は妹を死に追いやられ、
残りの方はその犯人にも関わらず、
何故か友情らしきものがあり、
また行為を行使するエリアでは無いとして、
お互いに相手を倒すべく行動は取らない。
終いには底なし沼にはまった相手を助ける
ことまでしてしまう。
敵対関係の中で一見紳士的な振る舞い
に見えるが、
常にお互いに気の許せない西部開拓時代
の話としては現実味の薄い設定ではある。
またラストの“撃たれてあげる決闘”も、
許されない禁断の愛を避けるためとの
一見筋の通った苦渋の決断のようだが、
果たしてどうだろうか。
そもそもが、娘から手を引かせるための
未亡人の嘘だったかの真意も不明だし、
残ったガンファイターと未亡人が結婚出来たとして、
未亡人は娘に真実は打ち明けられないだろうし、
娘は、初恋の彼氏を殺された母の再婚相手
を許せるのだろうか、家族になり得るのかと、
暗たんたる気持ちにさせられた。
名脚本家ダルトン・トランボ脚色作品だが、
娘の出生の秘密以外にも
今回は何かと曖昧さが目立つ。
牧場主は牛の移動成功の暁に求められた
妻の提供条件にどう折り合いをつけて
ガンファイターを雇ったのか、
妻子を先住民に殺された方のガンファイター
は、その怒りをどう抑えて、
牛の移動中を襲った先住民と交渉出来たのか
語られないままだ。
原作にも無理があったのか、
リアリティに欠け、
また、何かと自分解釈に頼るしか無い、
少ししっくり来ない映画だった。
すごくよかった
ロック・ハドソンがエイズで亡くなった記事を当時週刊プレイボーイで読んで、乱れた性生活の印象で、きちんと映画を見たことがないままだった。この映画では素敵な男っぷりのいい男で、敵のカーク・ダグラスと友情が芽生えていくところもいい。カーク・ダグラスもまた、魅力的でかっこいい。気の毒なのはヒロインの旦那さんで、年寄りとは言え亡くなったのに奥さんにも娘にもちょっとしか悲しまれていない。
恋の物語に展開して、そこからの決闘が自然で熱い。
それにしても牛を500頭も連れて国境を超える旅をするなんて、この上なく非効率だし危険極まりない。
早撃ちにはデリンジャーが一番。命中率はコルトが上だ。
かつての恋人ベルの住む牧場を訪れたオマリーは主人と「千頭の牛の5分の1をもらう」という契約を交わす。オマリーと保安官は腐れ縁。しかしメキシコでは逮捕権はないので、目的地のテキサスまでお預けだ。オマリーは人殺しだが、詩人でもある。特に、“セントエルモの火”を見せて語るシーンは印象的。そして執拗なほど追ってくる保安官ストリブリングは妹の夫ジミーをオマリーに殺され、その妹も自殺してしまったという因縁があったのだ。彼の妻と娘はインディアンに殺されたというオマケみたいな因縁もあった。
キャトル・ドライブが中心となるのだから、ロードムービーと言えなくもない。ベルの夫が酒場で殺され、悲しむ間もなく目的地のテキサスへと向かう一行。途中、インディアンに襲われそうになったとき、オマリーが思わず一人を撃ち殺してしまう。ストリブリングは咄嗟にインディアン居住区に向い、インディアンの大群を連れてくる。オマリーが契約した牛5分の1を渡すことで平和的に解決したのだ。なぜかこのエピソードがトランボらしいところかもしれない。
徐々にベルに惚れてゆくストリブリング。もう強引に求婚するんだから、オマリーもたまったもんじゃない。そんな折、流砂にはまったストリブリングを見て、途中で雇われた荒くれ者3人組が全てを奪おうとするが、彼を助けたオマリーとともに危機を救う。ストリブリングがベルを、オマリーがメリッサ(キャロル・リンレー)を助けたのが決定打となったのか、カップルの構図が決まってしまう。
国境を渡ったら、逮捕か決闘か・・・メリッサの愛らしく熱烈な告白によって父と娘のような歳の差を超えて愛してしまうオマリー。ベルのほうも結婚を承諾したようだ。しかし娘と駆け落ちしようとするオマリーに対して、ベルは「メリッサはあなたの娘よ」と告白。結ばれることのない愛だったのだ。そして二人は決闘の道を選ぶのだが、オマリーは弾倉から弾を抜いていた・・・
どちらかと言えば愛をメインにしたドラマではあるが、西部劇のいいところを目いっぱい取り入れた作品。千頭の牛追いシーンも迫力ある。残念なのはベルの夫が死んだときの心理描写がイマイチなこと。あまり悲しんでる様子には見えないぞ。
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