劇場公開日 2018年4月27日

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「廣木監督と鍋島淳裕の熟練テクニック」ママレード・ボーイ Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5廣木監督と鍋島淳裕の熟練テクニック

2018年4月30日
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鑑賞方法:映画館

TV-CM「いい部屋ネット」(大東建託)の替え歌ダンスの大量露出で全国区の人気になった、桜井日奈子の初主演である。共演はアミューズの吉沢亮。ワーナーブラザース(と日テレ)の配給で、主題歌もGReeeeN「恋」と気合いが入っている。

90年代の少女コミック(集英社「リボン」)に連載され、アニメ化もされている人気作品の実写化。

少女コミック原作と廣木隆一監督の組み合わせはいい。主演女優を美しく撮るセンスは、ポルノ出身監督のなせる技量である。 これまでも宮崎あおいや桐谷美玲、榮倉奈々、有村架純、前田敦子などの主演作品で女性的な魅力を引き出してきた。

本作で廣木監督は、"クチビル"マニア向けに桜井日奈子にズーミングを仕掛ける。さらに自然な流れのキスシーンを綺麗に連発させる。

まだばだ日菜子ちゃんのアピアランスが足りていない(=子供っぽい)のは致し方ない。というか独特のコミカルな空気感を持つ桜井日奈子の使い方は難しいかも。キャラクター設定でもあるのだが、親友の秋月茗子役の優希美青のほうが若いのに大人びている。

廣木監督と多くコンビを組むカメラマンの鍋島淳裕は、今回は意図して太陽光をレンズに入れているシーンが多く、ハレーション気味に自然光を使っている。終盤でデートする2人が互いにスマホで動画を撮り合う画面キャプチャをインサートするなど、編集的な遊びもしている。スクリーン画角はシネスコを選択している。ちなみに同日公開の「となりの怪物くん」も鍋島淳裕の撮影である。

それぞれの両親がお互いのパートナーを交換して再婚するという、突拍子もない事件ではじまる。そのうえシェアハウスに両家族6人が同居することで出会う男女のラブストーリー。少女コミック的な妄想設定かと思いきや、意外にもドラマチックに展開していく。連続ドラマ向けの時間経過が必要な原作ながら、2時間の尺にまとめた脚本はなかなか見事だと思う。

母親役で中山美穂が久々のスクリーン復帰。ここ数年ドラマ出演も目立ちはじめており、また来月には、主演でアルツハイマー認知症の小説家を演じる、「蝶の眠り」が控えている。

また両親役には中山美穂を中心に、筒井道隆(47)、谷原章介(45)、檀れい(46)と、1970年~72年生まれのポストトレンディドラマ世代を使っている。単なる年齢キャスティングかもしれないが、型破りなライフスタイル志向の同級生という設定にハマっていて笑える。

(2018/4/29 /TOHOシネマズ新宿/シネスコ)

Naguy