ウインド・リバーのレビュー・感想・評価
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彼女は雪の中裸足で10kmも走った
彼女は死の直前10kmも裸足のまま走った
それは彼を助けるための懸命の走りだった
失った悲しみが癒えることはない
ただ強いて言えば苦しみに耐えられるようになるだけ
でもその苦しみから逃れては本当に彼女を失ってしまう
だから苦しみから逃げずに耐えるのだ
主人公の言葉の重みがしみじみと全編にわたって染み渡る作品
犯人はみな成敗されるのではあり気持ちとしては折り合いがつくとはいえ、見る人にとっても悲しみと苦しみを共感せざるを得ない
ネイティブアメリカンの厳しい境遇とその現実について考える。こういう人が大勢いると考えると他人事ではない。
この映画にはそのヒントがある
・死因が寒さによる窒息であれば他殺と診断できないのでFBIは捜査にこない
・ネイティブアメリカンの女性の失踪が発生している
・ネイティブアメリカンの父親は自身に死に化粧を施していたが親から聞いたものではなく独自のもの。ネイティブアメリカンの伝統も失われている
・ネイティブアメリカンの居留地は寒さの厳しい場所しかなく厳しい環境を強いられている
・そうした環境を抜け出したいが麻薬の売人などに向かう若者もいる
パッケージだけで何となく見ていいレベルじゃない
初めは普通のサスペンスなんだと思ってキャッチコピーとパッケージのカッコ良さから何となく見始めたら止まらなかった。
皆ネイティブ・アメリカンに触れた深い感想を書いていて自分の無知を恥じた。
あれほどの閉鎖的な土地にいたらピートのように頭狂ってしまうのだろうか。
でも犯した罪は心のそこから軽蔑し許せない。クズオブクズ。あいつがちょっかい出さなきゃ何も起きなかったのにあのバカっつらが本当クソ忌々しい。
コリーの娘を亡くしたことを受け入れる姿勢がこの世にたくさん居る「遺族」の一つのあり方だと思った。復讐に駆られるのでなくその感情と戦うことで亡くした娘に心の中でいつでも会える。何という強さ。
私は映画通でもないしマーベルもあまり見ないので役者さんの前イメージはまったくない状態で見た。
裸足でマイナス20度の雪原を10kg走った被害者。彼女も強者。戦士。
どんなに苦しくて怖くて辛くて痛くて悲しかっただろうか。彼女は10kg走ったよ・・10km・・・
犯人は100m。100倍走ったよ・・・
日本にいて平和で彼らからしたら極楽浄土のような場所に住んでいると(勿論私の計り知れない苦労をしている人が日本にも溢れていることは重々承知だけど)何故あんなちょっとしたきっかけで殺し合いになるんだ。
同僚じゃないか。なんであんなに銃が溢れてるんだ。なんで人はあんな簡単に狂気になるんだ。
エミリーの真相がわからないことが物凄くリアル。今回のケースのようにわかる場合は稀でわからないまま悲しみと対話して生きていく親が沢山いるんだろう。
見応えがあった。
ピートのクソ野郎!
終盤だけ良かった!!
「プリズナーズ」や「白い沈黙」のようなサスペンスを期待しましたが、会話主体で進むので台詞ばかりで退屈に感じました。終盤、酔っぱらいに絡まれて、やっと待ち望んだ不穏な空気なりましたが、総じて物足りなかったです。
静寂と冷気
この映画はとても静かだ。
だけどとても胸に刺さる。
今回雪の中で見つけた友達の娘の遺体。
友達がとても辛そうにしている時にかける言葉が本当に胸に刺さる。
「時間が癒してくれるなんてのは真実ではない。
だが、痛みには慣れるんだ」
この言葉は同じ痛みを感じたものからしか出てこない言葉だ。
私も父を亡くしており、
どこにぶつけていいか分からない気持ちがあった。
もう10年以上も前の事だが未だに傷は癒えていない。
だけど、痛みには慣れてきた。
ほんとうにその通りだと感じた。
コリーも娘を亡くしている立場のためこの言葉が出たんだろうと思う。
綺麗事ではない。
また罪を償わせるだけでは気持ちが落ち着かないってのも分かる。
そんなんで済ませてたまるか、と言うのが正直な所だ。
だからコリーのあの決断には私は賛成したい。。。
そしてオルセン、色気を封じ込めてなかなか演技が良かったと思う。
催涙スプレーをかけられて、あとのあの演技は女優魂を感じて胸が熱くなった!
あと、急に始まる銃撃戦、とても興奮する。
なにかが起きる!という予感はしていたが痺れた。
銃ね…
事件としての目新しさは感じられないし寡黙なスーパーマンが1人いて頑張る若いねーちゃんがいるってのも既視感が拭えないし。銃が無いと生きていけない、殺される前に殺せ、女を人間として扱わない男たち、悪者の風貌はこうでなきゃ感、侵略者と被侵略者。嫌な感じがこれでもかってぐらい満載だけど、なぜか離脱したいとは一瞬も思わなかった。なぜだろ?
とことん悲しむんだ、共に生きたいなら
映画「ウインド・リバー」(テイラー・シェリダン監督)から。
まずはタイトルが気になったが、物語前半、道路脇の看板に登場した。
「ウインド・リバー 先住民保留地」(INDIAN RESERVATION)
そのアメリカ辺境の地「先住民保留地」で起こる事件は、
酷いとしか表現できない差別問題であるが、
娘を、開拓してきた奴らに犯され殺された、先住民の父親は、
どこに怒りをぶつけていいのか、途方に暮れていた。
そんな時、親友の主人公が声を掛けた。
「時が癒すと言うが、実際は違う。
気休めに過ぎないが・・痛みには慣れる」と前置きをして、
主人公自身が同じようなことを体験し、
悩み苦しんだときにカウンセラーに言われた言葉らしい。
「いい知らせと悪い知らせがある」
「悪い知らせは、君が決して元には戻れないこと。
娘の死を埋められるものなどどこにもない。
いい知らせは、事実を受け入れ、苦しめば、娘と心の中で会えること。
娘がくれた愛も喜びも憶えていられる。
痛みから逃げちゃダメなんだ、逃げると失う。
娘の思い出すべてを、1つ残らずな。
初めての一歩から最後の笑顔まで消えちまう。
苦しめ、マーティン。とことん悲しむんだ、共に生きたいなら」
とても心に残ったアドバイスだったし、胸が張り裂けそうになった。
社会問題をわかりやすく教えてくれた
アベンジャーズの2人が出るって事で観ましたw
一見、たったひとつの事件…に思われるシンプルで地味な映画かもしれないけど これ実話だったりします。
白人たちに辺境の地に追いやられたいわばインディアン達。警察も介入出来ない無法地帯では娯楽もなく薬物まみれ。この土地には女の子は少ない…理由は…男の人に嬲られ殺されるから…。
中には娯楽のないこの土地から早く出て行きたいって本当にいなくなった人もいるかもですが
警察は動かないのでね。真相はわからないとこが闇が深い。
こういう社会問題を取り上げた映画って勇気あるよね。
アメリカでの反響は結構良かったみたいですが、
おそらく変わることない闇なんだろうな…と
思わざるを得ないですね。
しかし、ジェレミは実話おおいな…w
犯人に怒りの鉄槌を。そして、どんなに雪深い土地であっても周りの環境を言い訳にしてはいけない。
殺された娘 女の子ナタリー 可哀想…
でも男共が巣くう所へ来た女の子も自業自得だと見られる場合もあるし、場所をよく考えて選ぶべきだったと思う。
レイプした犯人らに対しては絶対許せない気持ちになりました。
犯人らに対して当然の如く、裁き 天罰を下すべし。
そして物語の終盤で、いきなりの銃撃戦は度肝を抜かれました。
テイラーシェリダン監督はこういう緊迫感のあるシーン、表現、雰囲気を上手く作り出すことができたのではないか、と。
ハンター コリー役のジェレミーレナー、クールにきまってました。
撃たれたFBI役の女性ジェーンは生きてて良かった。
FBI女性ジェーン役のエリザベスオルセンは相変わらず綺麗だったし、うまく演じていたと思います。
ネイティブアメリカンのリアル
ネイティブアメリカンでの事件数は完全には把握されていない中で、事件に対する各々の立場の葛藤を描いた作品。
復讐劇であったが、なんかスッキリしない作品。
根本的な解決が見られていないことが原因なのか…。
悪くない映画だが、今ひとつ物足りない気もする。
That's a warrior. 知れば知るほど奥が深い
アメリカのワイオミング州ウィンドリバー先住民居留置。正直この作品を観るまでは全く知らなかったです。アメリカで当初公開が4館から始まって2000館以上まで増えたという話とジェレミー・レナーとエリザベス・オルセンが出演してるサスペンス物という知識だけで観に行った訳ですが・・・いやー、重かったです。
映画を観てるだけでも重かったのですが、後で調べれば調べる程出てくるアメリカの暗部。ウィンドリバー先住民居留置って鹿児島県と同じぐらいの広さがありながら警官6人しかいなかった、行方不明や未解決の事件が多い、ってそりゃそうなりますわな。鹿児島県と同じ広さをたった6人で見て回れって土台無茶な話です。でも、それがネイティブ・アメリカンが今も置かれてる状況なんですね。雪に閉ざされる過酷な環境に追いやられながら、部族の伝統すら忘れ去られ、それでも生きていくしかない状況。なんだかやるせないです。
アメリカの一部でありながらアメリカに見捨てられてるというか、コリーの娘の事件が解決しなかったのもそういう背景があったからなんだって気が付いた時は益々重い気持ちになりました。きっとトランプさんの言う「アメリカ・ファースト」の中にはこの地域は入っていないんだろうなぁ。
最後に「どれだけの人間がいなくなってるか誰も知らない」ってテロップが何となく唐突に感じたのですが、ミステリアスな事件を解決する物語に乗っ取りながらも一番伝えたかったのはネイティブ・アメリカンの現実だったという作りはテイラー・シェリダン監督上手いですわ。銃撃戦のスリリングさとか、コリーの無双っぷりとか、ちゃんとエンターテイメントしてましたもんね。
どうしても他国の話ですし、正直パッと観ただけでは伝わらない事も多いとは思うのですが、内容を調べれば調べる程「あー、そういう事だったのか」って事がわかる作品です。これはお見事としか言いようがないですね。
いい映画見たな〜って感じ
重い重いと言われてるけど見終わってうわ〜面白い映画だった。胸糞悪いラストではなかったし。
吹雪の音以外ほぼ静寂な中ストーリーは淡々と進むんだけど観客置いてけぼりなことないし、キャラクターの行動に納得もいく。
エリザベスオルセンが始めはチャラチャラしたお姉ちゃんかと思ったら正義感と根性のあるキャラだったのが良かった。
被害者女性とボーイフレンドの顛末があまりにも酷くて、でも現実に起こりそうで寒気した。肺が凍って出血するってほんとさぁ…
クライマックスの銃撃戦、痛いくらいの緊張感とハリウッドみたいに鮮やかな立ち回りをしないところがすごく印象に残った。
ジェレミーの狙撃もカタルシスがあって救われた。
タイトルなし
目には目を歯には歯を。
冒頭のシーンと対になる制裁の場面は被害者の強さと犯人の惨めさ弱さをあぶり出していて良かった。
ネイティブ・アメリカンの家族の絶望の淵から1歩前に進み始める終わり方が重い話の中の微かな希望として最後に提示されることで少し気持ちが晴れた。
マチズモと保留地問題
とても完成度の高い映画だと思いますが、いまいち好きではないです。
テーマのひとつに強さがあるように感じました。雪と沈黙しかないウインドリバー地区では、弱き者は鬱屈して死んでいくしかありません。心身ともに強くないと地獄では生きていけないと言えそうです。
どちらかというと精神的な強さが不可欠だと感じました。主人公コリーが友人マーティンに、悲しみから逃げるな、と強くアドバイスしますが、この地域では、逃げ=死なのだと思います。
自分の弱さに負けたら即淘汰。そして淘汰されるのは自己責任。確かに、間違いなく真実の一側面ではあります。
本作は、正義と悪がくっきり描かれています。正義=強者、悪=弱者。
被害者の2人は強者でした。強い意志を持ち、軍隊や大学に行くなど、この地獄から脱出する力もありました。もしかすると彼らは弱き者たちの怨念に殺されたのかもしれません。
終盤はくっきりとした勧善懲悪となります。暴れん坊将軍レベルのわかりやすさ。まったく乗れません。
その理由は、私が弱者側に共感しているからです。
あんな地獄で腐るのは当然です。強くあれる方がレア。かつては自分自身も時代や環境に翻弄された経験があるため、加害者たちの鬱屈が自分のことのように感じられました。暴発への共感はさすがにないですが、未来がなさすぎるが故にああいう悲劇が起きるのも理解できますし、だからこそやるせなかったです。
ラストの成敗シーンなんて、加害者の魂の叫びこそが胸を打ちましたよ。
インディアン保留地の問題を訴えたかったと思いますが、アメリカンマチズモと保留地問題は噛み合わせが悪く感じました。保留地みたいな地獄を作り出さないことが、大脳が発達しまくった社会的動物である人類の務めだと思います。なので、強さを強調するよりも、そっちに力点を置いた方が説得力がでたのではないでしょうか。
飽きずに見られる完成度の高い硬派エンタメ映画だと思いますが、諸手を挙げて好きとは言えない作品でした。
裁きの曠野
C.J.ボックスが好きで、映画.comのニックネームも彼の著書の原題を拝借したもんです。だから、この映画の設定はど真ん中のストライクな訳で、凍った曠野や雪の解けかけた山脈と言った景色だけでワクワクしてしまう。
某国には同情とか共感という概念が無く、翻訳に困るのだと言う話を聞いたことがある。ネイティブ・アメリカンには、おそらく「正義」の概念が無い。自然に宿る精霊が全てを決めるのだから必要ないんだ、きっと。
他所からやって来た無法者達は、コリーの手製カスール弾に吹き飛ばされるのだが、それは仲間の命を守るためだ。最悪の1人だけはガネットピークで自然の裁きを受ける(本当にあんな所まで連れて行けるのかどうかは知らないが)。低圧で膨れ上がった肺胞に氷点下30℃の呼気が流れ込めば、一呼吸毎の陽圧で毛細血管は破裂し肺の中は血液で溢れる。自分自身の血で溺れ死んだ男は報いを受けただけであり、コリーが正義を全うした訳じゃない。勿論、友人の娘の復讐でもない。あくまでも自然の裁きによる結果なのだ。だからコリーは氷の様に冷たくいられるし、罪悪も感じない。
連邦法に裁きを任せない。州法にも渡さない。この地で犯した罪は、この地の神の裁きを受けてもらう。ただそれだけのこと。
現代西部劇の基本例題の様なお話でした。
日本の神道に通じる精神。雄大な自然。強烈な火力を持つ銃器と凶器。惹かれる要素が揃ってる、個人的に。
C.J.ボックスの映画化、本当に、本当に、心待ちにしてます。まだ映画化されてないだなんて、そっちの方が謎だし。
Tバック
娘さんを亡くしたお父さんが
同じ境遇のジェレミーレナーの顔を見た途端
糸が切れた様に感情露わに
号泣してしまうシーンはもらい泣きしてしまいました。
実際にはドア越しなので見えてませんが
ナタリーが逃げ出すまでの出来事...見ててキツかったです。
最初は酔った勢いでのちょっかいみたいなものだったのが
エスカレートしていき
あっという間に大惨事
主犯?キッカケになった男が
ナタリーと同じ状況で死に至るシーンは
生ぬるい‼︎もっと...と思ってしまいましたが
お父さんが「どんな最後だった?」
ジェレミーレナーが
「哀れだったよ」
それを聞いたお父さんの笑みで
あの制裁で良かったんだなと感じました。
エリザベスオルセンが病室で
「ホントに裸足で10キロも...」と
震えてるシーンもぐっときました。
想像できない氷点下
ジェレミー・レナーの抑えた演技が秀逸。エリザベス・オルセンと2人が出てると,どうしてもアベンジャーズ感が。
娘を失った二人の父の寂しさ感が半端なく伝わる。ネイティブの役者さんたちが上手い。死に化粧すらも伝承する手立てを奪われているのが酷。
採掘所に一緒に行った二人の警備員が殺されてしまい,可哀そうであることよ。狙撃シーンでは最後の一人を狙うのかなと思っていたが,結局,復讐のいけにえにする展開がベタかな。一番初めにちょっかい出した奴だったし。採掘所,今の時期は運転していないって字幕に出てたけど,誤訳?
話題
後半に急展開を迎えるのだが、あっという間に解決するのはちょっと出来過ぎな感じだが、まあ納得の結末。ハンターは犯人を同じ目に合わせて、FBI捜査官は彼に間一髪のところを助けられて病院送り。
survive or surrender
舞台はWyomingのWind River。
その一角を占めるIndian Reservationは、Arapaho族を含むIndigenous Americansが追いやられた不毛の地。
事件捜査の過程で、この地域が抱える闇の深い数々の課題が浮き彫りになっていきます。
かつてインディアンが生活の糧としていたバッファローは根絶され、多くの産業も農業も根付かず、一年の大半が雪に埋もれたような土地柄。住民達の心も凍傷にかかり、ルーツへの誇りは勿論、将来の夢も希望も凍てついているようでした。屈強な戦士の血が流れているイメージの”インディアン”の子孫が、根を上げたくなるほどの戦闘相手は、過酷な自然環境と社会問題。現実逃避したくても、娯楽すら容易に得られず酒や薬物に溺れ、大雪に抑えつけられた鬱憤と憤怒は、平穏な生活を望んでいるだけの人々からも、ようやく咲いた美しい花を無惨にもぎ取り踏みにじります。
過去に殆ど全てを強奪したのに、
再建の機会を与えることのないまま、
これからもどこまで奪う気なのだろう。
世界を変えられないなら、
この境遇で静かに強く生き延びるのみ。
ただただ、命を守るのみ。
隙を見せれば終わる残酷な弱肉強食の世界。
最後の銃撃戦が凄まじいです。
吹き飛ばす威力が、正義の怒りを表しているようでした。
共に娘を失った父親達の絆が涙を誘います。
痛みを受け入れてこそ素敵な思い出も残るのだと。
井戸水を飲んでいましたが、過去のウラン採鉱の影響で汚染されている可能性があるようです…。
エンディング曲が、凍りついた感情を溶かすような音色でした。
“Luck don’t live out here.....Out here, you survive or you surrender. Period. That’s determined by your strength and by your spirit. Wolves don’t kill unlucky deer. They kill the weak ones. You fought for your life..... Now you get to walk away with it. You get to go home.”
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