劇場公開日 2018年3月17日

  • 予告編を見る

「ゆったりしてるようで油断がならない。」馬を放つ バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ゆったりしてるようで油断がならない。

2018年3月31日
PCから投稿

知的

キルギスの田舎の景色が印象的な作品だが、決して牧歌的な映画ではなかった。随所随所に、キルギスという国の変貌や、それぞれの人間の限界、過去の歴史や文化的背景などを暗示する表現が散りばめられていて、景色に心奪われていると大切なサインを見逃してしまいかねない。監督が伝えようとしていることは明確なのに、そのための表現が大胆であり、かつさりげないのである。しかし価値観の変化やグローバリゼーションというテーマなどは日本に住んでいるわれわれにも縁遠いわけではなく、辺境映画だと思って観ると思わぬ不意討ちを食らってハッとさせられる。賑やかな映画ではないが知的で刺激的な時間を堪能した。

村山章